村上春樹と柴田元幸のもうひとつのアメリカ の商品レビュー
大好きなお二人のことを書いた本。でもアメリカ文学史や外国文学に詳しくなくしっかりと予習したからまた読み返したい。柴田さんの生まれ育った環境や翻訳家になった経緯などほとんど知らなかったので知ることができてたかった。ゆっくりまた読みたい
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この本は村上春樹と柴田元幸を同等に論じているようなタイトルだが、柴田元幸の方を圧倒的に掘り下げて描いている。 翻訳するということはどういうことか。 翻訳とは、文章を作り出しながらも、読者の前から存在を消していなければならない。 その消失ということにこだわって小説を書いていたのが...
この本は村上春樹と柴田元幸を同等に論じているようなタイトルだが、柴田元幸の方を圧倒的に掘り下げて描いている。 翻訳するということはどういうことか。 翻訳とは、文章を作り出しながらも、読者の前から存在を消していなければならない。 その消失ということにこだわって小説を書いていたのが、ポール・オースター。 消失。 柴田元幸にとっての消失ということに、結構なボリュームを割いており、ようやくもうひとつのアメリカへ。 大人になることで消失する少年時代。大人の世界が少年の世界を覆い隠す。 今アメリカは成長し続ける少年の世界を越えて、大人の世界で停滞を続ける。 少年時代を消失することで浮かび上がる、自己内面の闇。 今、アメリカはそれと向きあうのか、乗り越えるのか、見なかったことにするのか。 文学はそれを書き、翻訳者はそれを伝えながら自己を消失させる。 そういうことなのだそうだ。 うーむ、やっぱり難しい。
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両氏のあまり知られていないエピソード集としてだけでも十分おもしろく読める。いろいろなところに書かれたものではあれど、一冊の本にまとめてくれていることに感謝。例えば、村上春樹が訳者あとがきで「テキストをお貸し頂いた志村正雄氏、高橋源一郎氏、また資料をお貸し頂いた青山南氏に深く感謝す...
両氏のあまり知られていないエピソード集としてだけでも十分おもしろく読める。いろいろなところに書かれたものではあれど、一冊の本にまとめてくれていることに感謝。例えば、村上春樹が訳者あとがきで「テキストをお貸し頂いた志村正雄氏、高橋源一郎氏、また資料をお貸し頂いた青山南氏に深く感謝する」と書いているというエピソード。高橋源一郎と村上春樹の接点を書かれたものが異様に少ないので、改めて驚いてしまった。
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80年代90年代、ある意味日本文学の「変革」をもたらした村上春樹。 歴史的な変遷が、彼にアメリカ文学を与え、影響を及ぼし、新たなスタイルが誕生する。 彼から影響を受けた現作家や、アメリカ文学の翻訳でおなじみ柴田元幸氏の直接対談まで、文学の流れを理解することができる良書。
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柴田元幸を読んでも、三浦雅志を読んでも、内田樹を読んでも、わたしはそこに村上春樹を感じ取る。わたしが春樹を最も熱心に読み込んだのは中学3年間で、その後、春樹の訳した海外文学を読んだり柴田元幸の訳した海外文学を読んだりして、春樹自身の作品はそんなに読んでなかったのだけど、どこへ行っ...
柴田元幸を読んでも、三浦雅志を読んでも、内田樹を読んでも、わたしはそこに村上春樹を感じ取る。わたしが春樹を最も熱心に読み込んだのは中学3年間で、その後、春樹の訳した海外文学を読んだり柴田元幸の訳した海外文学を読んだりして、春樹自身の作品はそんなに読んでなかったのだけど、どこへ行っても村上春樹の庭の中という感じがします。柴田元幸の庭にいても、それは村上春樹の庭の一部だと思ってしまう。わたしがわたし自身の庭を形成する際に使ったのが村上春樹だから、わたしはいつまでも村上春樹の庭で遊んでることになるのかも。と、いうことを思わせる本でした。2人についてより「もうひとつのアメリカ」に関する考察が一番素敵だった。
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面白いよ。村上春樹からどこかに行こうとしている人へのブックガイドと思えばいいんじゃない?個人的には村上春樹評論ってなんか不毛な気がするから、その部分はどうでもいい。むしろ俺の知らないところで、柴田元幸がこんなにもアイドルだったんだと知ったことのほうが大きい。俺は日本の現代作家読む...
面白いよ。村上春樹からどこかに行こうとしている人へのブックガイドと思えばいいんじゃない?個人的には村上春樹評論ってなんか不毛な気がするから、その部分はどうでもいい。むしろ俺の知らないところで、柴田元幸がこんなにもアイドルだったんだと知ったことのほうが大きい。俺は日本の現代作家読むより、外人にすごい奴がいっぱいいることに気づいたんだけど、そしてそれは俺なり運命の転換だったのに、それがまさに普通だって言われたことのこの悲しさ。
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