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戦後世論のメディア社会学 の商品レビュー

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2009/10/04

本書において特徴的なのは「よろん」を輿論 と世論に分けた時点から出発した点にある。理性的な輿論、感性的な世論、現代では意味的に一緒にした世論という言葉が独り歩きして様々な領域で使われてしまっている。この点を見過ごしたままでは世論をという言葉がつくあらゆる研究が中途半端なものとなっ...

本書において特徴的なのは「よろん」を輿論 と世論に分けた時点から出発した点にある。理性的な輿論、感性的な世論、現代では意味的に一緒にした世論という言葉が独り歩きして様々な領域で使われてしまっている。この点を見過ごしたままでは世論をという言葉がつくあらゆる研究が中途半端なものとなってしまう。そのように考えた編者が、まず序章において「世論」の定義をしっかりしてくれていることが本書の価値を高めてくれているといえよう。  また本書には様々な分野の研究者が参加している。社会心理学、メディア史、歴史社会学、知識社会学、教育社会学、とこれら広い分野にまたがった学際的な試みのものとなっている。本書においては学際的なアプローチが成功しているといえよう。 題目を見れば 四章 スネークダンスのテクノロジー 六章「受験地獄」の黙示録 八章私論と輿論の変換装置 などまとめようの無いものが並んでいるように思えるが、メディア社会学という視点から見ればひとつのカテゴリーに入れることはできるように考えられる。とくに近時の日々変化するメディア状況の中にいる学生に 視点のエッセンスを示唆するのに役に立つと考えられる。 ほか、巻末にある44ページに及ぶ文献解題が便利である。本書を出発点にして多くの論文が生まれることが期待される。

Posted byブクログ