太平天国にみる異文化受容 の商品レビュー
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近世中国にて勃発した太平天国の乱、及び太平天国を概観し、その異文化受容の様態を解説した書。太平天国の指導者である洪秀全、彼が創立した拝上帝会の歴史を辿りながら、日本とは異なる「アジアの近代」を形成した太平天国の思想的・文化的重層性を解き明かしていく。 本書は、洪秀全と拝上帝会の異文化受容史から太平天国の乱を語るものだと言える。一般にキリスト教の影響が指摘される太平天国(及び洪秀全の拝上帝会)ではあるが、その思想はそこに中国伝統の儒教思想や民間信仰を取り入れた重層的なものであると本書は指摘している。自らが批判し排撃する儒教の思想とキリスト教を融合させて大同ユートピアを説き、布教に際しては民間信仰の要素や客家の帰宗(グイソン)観念を摂取した拝上帝会の姿は、異文化をどう受容するかの一例として大いに興味深い。乱自体のの概観とその顛末は後半部で軽く紹介するに留めているが、全体として太平天国の背景を知ることができる一冊と言えるだろう。
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