一外交官の見た明治維新(上) の商品レビュー
著者が日本に惹かれ、死をも恐れない好奇心があったからこそ、幕末から明治への歴史を側面から見ることができた。来日早々生麦事件に遭遇。開港場となる長崎、神戸、新潟などの日本各地に出向き、伏見から東海道で江戸へ下るなど精力的に日本を歩く様子が詳細に語られ興味深い。イギリス公使が譜代大名...
著者が日本に惹かれ、死をも恐れない好奇心があったからこそ、幕末から明治への歴史を側面から見ることができた。来日早々生麦事件に遭遇。開港場となる長崎、神戸、新潟などの日本各地に出向き、伏見から東海道で江戸へ下るなど精力的に日本を歩く様子が詳細に語られ興味深い。イギリス公使が譜代大名や将軍に接見しようとしても、病気と称して避ける(しかも仮病と知れている)様は、意思決定力や外様も含めた大名に対する統率力の低下をひしひしと感じた。また、世襲による統治の限界が御一新という時代の転換点を必要としたのかも知れない。
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萩原延壽の「遠い崖-アーネストサトウ日記抄」(全14巻)は好きな本で三回も繰り返し読んでおり、その都度新しい発見がある。この本は幕末期のイギリス外交官アーネストサトウの日記や1921年発行の本書「一外交官の見た明治維新」を繰り返し引用することから成り立っており、「一外交官」は、一...
萩原延壽の「遠い崖-アーネストサトウ日記抄」(全14巻)は好きな本で三回も繰り返し読んでおり、その都度新しい発見がある。この本は幕末期のイギリス外交官アーネストサトウの日記や1921年発行の本書「一外交官の見た明治維新」を繰り返し引用することから成り立っており、「一外交官」は、一度は読まなければとつねづね思っていた。 1861年以降の出来事を1921年に世に出したのが本書である。内容も激動の幕末期で面白いが、何より驚くのは原書が100年以上前に発行された本とは思えない程読みやすいことである。翻訳書であるためかとも思い文庫の奥付をみると、岩波文庫はなんと1960年発行。50年以上前の本であった。良書は時代を選ばぬと痛感した。 しかし、このブクログの表紙は新書版だが実際に手に取ったのは岩波文庫版である。字が小さい! 内容の面白さに文句は無いが、老眼が進んだ小生にはやや苦しい読書だった。 2016年12月読了。
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幕末の混沌とした状況が伝わってきます。伊藤博文や井上馨の影がほの見えます。いつの時代も、若者が世の中を変革していったのでしょう。いまの日本の若者の行動が、少しづつですが日本を変えつつあると信じたいです。
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タイトルの通り、明治維新のときに日本に来たイギリスの青年外交官、アーネスト・サトウが書いた、当時の日本の回想録。 日本側から書いた明治維新ものだったら、それこそ龍馬、新撰組、陽だまりの樹など数多く名著がありますが、外国人側からみたらなるほどこんな雰囲気だったんだな、ということが...
タイトルの通り、明治維新のときに日本に来たイギリスの青年外交官、アーネスト・サトウが書いた、当時の日本の回想録。 日本側から書いた明治維新ものだったら、それこそ龍馬、新撰組、陽だまりの樹など数多く名著がありますが、外国人側からみたらなるほどこんな雰囲気だったんだな、ということがわかって面白いです。 日本側の自分からしてみたら、明治維新のとき、黒船で外国人は日本を征服しにきた、みたいなイメージを持ってました。 でもこれ読むと、外国人って商売しにきたんすね。 で、なるべく有利な商売をしようっていう意識であったと。 商売しようとしてる相手を征服者と思い込む、っていうのはなんだか今の日本でもありそうな話だよなあ、と思いました。
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天皇と幕府の関係などよく理解していると驚きます。 序盤、横浜の外国人居留地や生麦事件など書かれていますが、現在の横浜関内の地理、開港資料館等にある江戸末期から明治の関内の様子を予め知っておくと面白い。
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多少西洋至上主義の匂いもあるけれど、当時としては当然だろうしなかなか面白い。ペケってマレー語だったんだなー。 よく出てくる皮肉な言い回しがたまらん。フランス・アメリカに対してのが半端ない。一番はやっぱりフランスだけど。 他の資料とつき合わせて読むともっと経過が分かりやすいんだろう...
多少西洋至上主義の匂いもあるけれど、当時としては当然だろうしなかなか面白い。ペケってマレー語だったんだなー。 よく出てくる皮肉な言い回しがたまらん。フランス・アメリカに対してのが半端ない。一番はやっぱりフランスだけど。 他の資料とつき合わせて読むともっと経過が分かりやすいんだろうな。 伊藤と井上にはかなり好意を持ってるのが感じられる。伊藤のが上かな。
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アーネスト・サトウ氏の19~25歳頃の記録。 兼ねてから色々な史料に引用されており 興味を持って読んでみたのだが 思ったより知識が偏っており、薩長に肩入れする余り 事実誤認をしている部分がいくつか見受けられ それが残念に思った。 ただそれにしても、ひとりの外国人の視点ならではの 普通の史料本であれば端折られてしまうような ある人間に対する身なりやストレートな感想は面白い。 日本人に対して、本人らはもしかするとそのつもりはなかったかもしれないが やはり東洋の黄色い猿であり、 心のどこかで見下しているのがよくよく見て取れる。 正直、こんな考えでこんな振る舞いをされれば 当時の世情を鑑みて自分が武士だったなら 外国人と見れば敵意を燃やし 無礼を働く者は切って捨てても正義であると 信じて疑わなかったに違いない。 サトウ氏の中で日本文化への親しみと それをぶち破る正当性の区別がどこにひかれていたのか いまいち分からない。 自分が公使を尊敬するように 武士も殿様を尊敬しており、公使への尊敬を押し通す余り 殿様へ無礼は行為を働くのはいかがなものかと思うのだが。 また、フランスやアメリカなど他の国への ライバル心も相当なもので これもやはり、中立で冷静な視点でいたのかと思っていた私からすると 意外な点だった。
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サトーさんは日本に憧れてやってきたんですね。日本(オタク)文化に憧れて来日する人たちの走りかもしれません。日本語がぺらぺらで文化・風習にも詳しくなるところまで似通っています。冒頭の、日本史ダイジェストはすごくわかりやすいです。
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