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文学散歩 作家が歩いた京の道 の商品レビュー

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2012/01/12

京都と聞いたら条件反射的に憧れを抱いてしまう私。 加えて作家が絡んできたら、これはもう読むしかありません。 京都を舞台にした作品も多々紹介されるだろうという期待のもとに、読みました。 カラー写真がふんだんに掲載された、目にも楽しい本となっています。 京都を偏愛する作家は、想像以...

京都と聞いたら条件反射的に憧れを抱いてしまう私。 加えて作家が絡んできたら、これはもう読むしかありません。 京都を舞台にした作品も多々紹介されるだろうという期待のもとに、読みました。 カラー写真がふんだんに掲載された、目にも楽しい本となっています。 京都を偏愛する作家は、想像以上に多いと気づきました。 谷崎潤一郎も、その一人だということ。 平安神宮神苑の華やかなお花見光景が描かれた『細雪』を執筆し、法然院にあるお墓参りもしたことがあるため、てっきり関西の作家かと思っていましたが、彼は江戸っ子でした。 はじめは京料理を淡白で物足りなく思っていたのに、後に京料理を一番気に入り、住まいを移したほどの入れ込みようだったとのこと。 神護寺の地蔵堂を訪れた時、『春琴抄』を執筆した場所だと紹介され、(こんな人里離れた場所に、あの豪奢な作風の作家が籠ったなんて、信じられない)と驚きました。 晩年こそ体調のために熱海へ越したものの、亡骸は京都に葬られたとのことです。 曼殊院では遠すぎ、金戒光明寺は坂の上ということで、法然院に決まったと、自分の作品内でも主人公に自分の墓所を探させているくだりがあるそうで、彼のこだわりを感じました。 川端康成の『古都』は、京都の名所旧跡が、ガイドブックのように多く登場するとのことで、読んでみなくてはと思います。 自分が京都に行く前に、漠然と読んでいた本なども多くあります。 漱石の『虞美人草』の書き出しは、比叡山を登りながらの会話だということは気付きませんでした。ほかに、八瀬の里の描写もあるそうです。 また、『門』は、鎌倉の建長寺かと思っていましたが、相国寺の間違いであると知りました。 どちらも要再読です。実際に訪れた場所を思い浮かべながら読むと、さらに作品のリアリティが深まることでしょう。 また、水上勉は著作『雁の寺』の舞台となった相国寺に、実際に雁の絵があるとは知らなかったそうです。 少年時に丁稚奉公をした寺とのふしぎな縁でしょう。 また、つかこうへいの『蒲田行進曲』は、蒲田ではなく京都の太秦撮影所が舞台だというのも初耳でした。 これはひねりすぎでは?と思います。東京が舞台の話だと勘違いしている人は相当多いことでしょう。 京都を愛した作家たちと、彼らが文章に反映させた作品紹介に徹しているため、さらりとした読後感。 あとは、掲載された作品を読んで、さらに作家の目を通して表現される京世界に浸りたいと思います。

Posted byブクログ