魔法の石板 の商品レビュー
『パピエ・コレ』などの詩集を書いた作家ジョルジュ・ペロス。カミュの師匠ジャン・グルニエへの熱烈な師事と離縁、NRF編集長ジャン・ポーランとの付き合い、孤独を求めてブルターニュの漁師町への隠遁…。彼が残した迂遠な踪跡を、丹念に追ってゆく堀江さんの叙述が、白い溜息のように形になって、...
『パピエ・コレ』などの詩集を書いた作家ジョルジュ・ペロス。カミュの師匠ジャン・グルニエへの熱烈な師事と離縁、NRF編集長ジャン・ポーランとの付き合い、孤独を求めてブルターニュの漁師町への隠遁…。彼が残した迂遠な踪跡を、丹念に追ってゆく堀江さんの叙述が、白い溜息のように形になって、彼の人生の局面を洗い出してゆく。 マイナーな詩人ぺロスの肖像を見事に伝えてくれる立派な評伝でもあり、20世紀のフランス文学小史としても読めるのは、エッセイスト堀江さんの本領発揮というところである。こういうセンスある仕事を文学研究者に求めてしまうのは、無理な注文というものか。 堀江さんの散文のなかで優れた作品といえば、迷わずこの本を挙げる。
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