月光浴 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
たまたまネットでみつけて「そういえばハイチ文学って呼んだことないな」と思い図書館から借りてきました。 ハイチが中米のどの辺か、何語をはなしているのかもわからず読みました。とにかく貧しい国のようですが、 この本を読む限り、文学レベルは高い。 中には高すぎて(?)よくわからない話もあるが そこそこ楽しめました。「スキゾフレニア」という作品が難解すぎましたが、不思議に朗読してみたい文章でした。 返却する前に音源にしてみようか。『島の狂人の言」もほとんど意味不明。この2作以外はなんとかついていったつもりです。「ありふれた災難」は特によかったです。
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全ての文化や歴史を取っ払ってみても、島国の人は内陸に住む人達よりも感情豊かで生物として輝いている気がする。厳しい自然の環境とともに美しい風景や恵みをより享受できるからだろうか。コロンブスが上陸してから奴隷制度が始まり、現在は史上初の黒人共和国となり歴史的には自由なはずだ。しかし独...
全ての文化や歴史を取っ払ってみても、島国の人は内陸に住む人達よりも感情豊かで生物として輝いている気がする。厳しい自然の環境とともに美しい風景や恵みをより享受できるからだろうか。コロンブスが上陸してから奴隷制度が始まり、現在は史上初の黒人共和国となり歴史的には自由なはずだ。しかし独立が早すぎ、自活できる国の力は持たないために、生活は厳しいものだった。かなり鬱屈した生活の中、殻を破る雛のようにもがき、恵まれない環境の中でも人としての歓び、誇りをかき集めるような、息苦しい気配が感じられる。結構読みやすい。
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カリブ諸国の文学における「海」の大きさ。 海は生活の糧であり、恋人たちの逢瀬の場である。詩人の魂を揺さぶる美の根源でもあれば、狂気に陥った者の命を呑み込む魔界の入り口でもある。また政治的には、独裁という牢獄に市民をとじこめる檻の役割を果たすとともに、祖先が西アフリカから奴隷として...
カリブ諸国の文学における「海」の大きさ。 海は生活の糧であり、恋人たちの逢瀬の場である。詩人の魂を揺さぶる美の根源でもあれば、狂気に陥った者の命を呑み込む魔界の入り口でもある。また政治的には、独裁という牢獄に市民をとじこめる檻の役割を果たすとともに、祖先が西アフリカから奴隷として「海運」されてきた歴史をも語る。 本作、ハイチ短編集もまた、要所で登場する「海」が持つ魔に魅入られる思いがする。海は多くの場合、美しさだけではない負の側面を有している。身投げ、亡命、侵略。 短い頁数でハイチの社会構造を、象徴的に描き出しているごとき全部盛り小説の、フランケチエンヌ「私を産んだ私」。五十年の夫婦生活の果てに亭主を殺すことを思いついた女の話、ケトリ・マルス「アンナと海...」が良かった。
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大学時代に読んだ本。ほら、ライオンを見てごらん、私を産んだ私。 ハイチが私の意識に及ぶきっかけに。全編読み返したい。
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