天下人の自由時間 の商品レビュー
織田信長・豊臣秀吉・徳川家康のプライベートな時間における逸話を紹介した一冊。 3部構成で人物別に分類されており、1エピソードが2ページ程度なので、戦国コラム的なまとめかたになっている。 どの話も平均的に面白いのではあるが、印象としては以下のような感じ。 信長→有名な話が多く...
織田信長・豊臣秀吉・徳川家康のプライベートな時間における逸話を紹介した一冊。 3部構成で人物別に分類されており、1エピソードが2ページ程度なので、戦国コラム的なまとめかたになっている。 どの話も平均的に面白いのではあるが、印象としては以下のような感じ。 信長→有名な話が多く、イメージを裏切られることはない。 家康→地味な話が多く、特にドラマ性を感じなかった。 本書の読みどころは、秀吉のエピソードにあると感じた。 秀吉は非常に多趣味であったため、エピソードに事欠かないという面もあるが、人間としての個性が際立っている。 特に面白かったのは、秀吉の和歌。 今まであまり丹念に読んだ事はなかったが、本書の作例だけでも非常に素晴らしかった。 大名和歌というものを、もう少し深堀しようと思った次第である。 有名な辞世の句である 「露と落ち露と消えにし我が身かな なにわのことも夢のまた夢」 を、ブレーンの代筆であろうと勝手に思っていたが、残された和歌のクオリティを見ると、辞世の句が本人の作だったように思える。 また、秀吉は能についても造詣が深く、自分でオリジナル能作品もあったとか。 その名も題して「豊公能」。 自分の一代記を能にしたてた作品とか。 また、「耳引」という演目では前田利家・徳川家康と供に3人でトリオよろしく喜劇を演じたこともあったとか。 このあたり、秀吉というキャラクターがいなかったら決して実現できない奇跡だと思います。 秀吉の知らなかった魅力を教えてくれた一冊であり、非常に満足でした。
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