国際開発コンサルタントのプロジェクト・マネジメント の商品レビュー
今の仕事(国際開発コンサルタント的な仕事もしつつ、国際協力業界で働く人向けの研修の講師もする)に役立つかな、と思って読んでみたが、それほどでもなく。 一つには、既に出版から18年近く経っていて、今の国際開発業界の情勢に合ってないという問題がある。この本が出た2003年当時では最...
今の仕事(国際開発コンサルタント的な仕事もしつつ、国際協力業界で働く人向けの研修の講師もする)に役立つかな、と思って読んでみたが、それほどでもなく。 一つには、既に出版から18年近く経っていて、今の国際開発業界の情勢に合ってないという問題がある。この本が出た2003年当時では最先端の話でも、今はもはや古典に近い。これはもう、本の中身云々の話ではなく、出版された途端に中古になる、本という媒体の限界の話。プロジェクトの組み立て方や入札の仕方、評価の方法など、どれをとっても当然ながら古い。今のトレンドを学ぶというより、かつての開発業界はこうだった、という「歴史」をふり返るには有益かもしれないが。 二つ目には、どちらかというとハード整備やインフラ建設をする開発コンサルタント向けに書かれた本であるということ。出版元が建設コンサルタントの日本工営グループなので、これはこれでもうやむを得ない。第三部「設計・施工管理のマネジメント」の章など、自分のような人材や組織の開発・能力向上を行うソフト系の開発コンサル会社に勤める身としては、ビタイチ参考になるところがなかった。 三つ目として、プロジェクトを管理運営する開発コンサルタントとしての心構えや仕事へ取り組む姿勢についての記述が、かなり精神論に偏っているというのも、あまり惹かれなかった点。臨機応変が求められる国際開発の現場において、どのように振る舞いどのように習熟していけばいいかをハウツーとしてまとめるのは難しいのだろうとは思うが、たとえば「決断と決心が重要」と述べている節において、「それをどのようにすれば鍛えられるのか」ということは書かれていない。大事だよ、という指摘だけで終わっているのが残念というか、勿体ない。 一つ目の問題点として挙げたのがとにかく致命的なので、開発援助の「歴史」を調べる必要のある大学生や大学院生には有益かもしれないが、「今の開発援助の情勢」を知るには使えない。良き「古典」として生き残る可能性もなくはないが。
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読めばすぐ役立つというような本ではないように思うし、実務の概要を抑えるのにも心許ない。ちょっと消化不良気味だが、類書がほぼ皆無と言うことを考えれば、意義のある本だとは思った。
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