自然再生事業 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
2003年刊行。バランス、網の目。自然の生態系を喩える表現はあまた存在するが、一旦破壊された自然を回復させる過程が容易な道程でないのは間違いない。本書は、その生態系回復の取組みについて、霞ヶ浦、岡山県総社市など日本各地の具体例を通じて検討していく(一部アメリカ。ただし成功事例というわけではなさそうだが)。多少乱暴にまとめるならば、自然の力に、科学というスパイスをどう塗していくかの様に感じたところ。また森林の重要性は言わずもがな。
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技術の試験勉強のために読んだ本。 建設環境分野では、「自然再生」が キーワードになっているのにも関わらず 08年の試験勉強では完全に見落としていた。 試験勉強のために手に取った本だが 自然再生のことを知るためだけの本では技術本ではなかった。 私たちが前の世紀では「当たり前」と思...
技術の試験勉強のために読んだ本。 建設環境分野では、「自然再生」が キーワードになっているのにも関わらず 08年の試験勉強では完全に見落としていた。 試験勉強のために手に取った本だが 自然再生のことを知るためだけの本では技術本ではなかった。 私たちが前の世紀では「当たり前」と思っていたことによって 引き起こされた教訓を生かして、今の時代をどのように作っていくのか。そのひとつの現場(建設業界)で起きている取り組みが 「自然再生」なのだという文脈で本書が書かれているからだ。 それは、本書でのアサザプロジェクトの意義のところで 以下のように書かれている。 20世紀の社会はピラミッド型の社会であり、その原理は常に力による問題解決だった。20世紀が戦争と自然破壊の世紀であった背景には強力な中央集権(センター)を志向する力の論理があった。 私たちがめざす21世紀型社会は、総合化する主体を権力に頼らない力に頼らない、中心を持たないネットワーク型の社会であり その社会の特徴はここの人格が機能することである。(P146) アサザプロジェクトでは湖の自然を取り戻すのも、社会を変革するのも力ずくではない。それは社会にゆるやかなではあるが深い変革をもたらす仕組みである。その戦略は地域に根ざした既存の社会システムに環境保全機能を組み込み面として広がる仕組みを作り、同時にそれぞれの組織に全体との結びつきを意識させることでその質的転換を促すものである。また、環境保全の視点から既存のシステムのなかに新しい価値を見出し、その価値を環境保全を軸につくる 新しい関係性(ネットワーク)のなかで社会に根づかせる。それにより、社会はその地域の自然をモチーフに再構築されることになる。したがって、(中略)、保全生態学の理論構築と社会システムの再構築を双方向的な思考で進める創造的な取り組みによって実現すると考える。(P270) これは、今の時代を生きる建設技術者が持ち合わせていなければならない視点だと思うと同時に、同様なことが、まちづくりの現場にも当てはまる話である。時代が大きくパラダイムシフトしていることを感じさせる一冊だ。
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