放射性炭素年代測定と日本古代史学のコペルニクス的転回 の商品レビュー
本書によると、最近になって測定された北九州の古代資料の放射性炭素(C14)測定値は、それまでに「土器編年」や「日本書紀考古学」によって考えられていた時期よりも「古い」というデータが確認されたという。 それはどういうことを意味するのかという本書の考察は、面白く興味深いと感じた。...
本書によると、最近になって測定された北九州の古代資料の放射性炭素(C14)測定値は、それまでに「土器編年」や「日本書紀考古学」によって考えられていた時期よりも「古い」というデータが確認されたという。 それはどういうことを意味するのかという本書の考察は、面白く興味深いと感じた。 本書で展開されるのは、「卑弥呼」「邪馬台国」「倭の五王」等の考察にとどまらず、「三国志」「隋書」「旧唐書」等の古代中国資料の再検討にまで及ぶ徹底したものとなっており、立体的で説得力がある。 ただ、ここまで日本古代史の伝統的通説を覆す主張の直接的な根拠が「放射性炭素年代測定」のみでは、これですべて解決とまではいえないと思えた。もちろん、そう簡単に結論が出ないからこそ、日本古代史は面白いのだが。 本書を読んで、もっと新しい複数の科学的検査法により新しい知見が得られるとか、いままで発掘できなかった古墳の研究が許可されるとかにより、まさに決定的な「日本古代史のコペルニクス的転回」が得られる事を期待したいと思った。 本書は、日本古代史をさらに知りたいという思いをたかめさせる良書であると高く評価したい。
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