完全な遊戯 の商品レビュー
「完全な遊戯」 いかれた女の、帰る場所がないのをいいことに 好き放題やらかす男たち 生きる力なき者の末路といやあそれまでだが いや、それももちろん大問題だが しかし人権尊重を建前とした戦後にも相変わらず むしろ陰険さを増した暴力が幅をきかせている この恐怖こそ彼女をおかしくしたも...
「完全な遊戯」 いかれた女の、帰る場所がないのをいいことに 好き放題やらかす男たち 生きる力なき者の末路といやあそれまでだが いや、それももちろん大問題だが しかし人権尊重を建前とした戦後にも相変わらず むしろ陰険さを増した暴力が幅をきかせている この恐怖こそ彼女をおかしくしたものの正体ではないのか 「若い獣」 ボクシング小説 アンラッキーも実力、で済まされてしまう敗北者の余生 「乾いた花」 ギャンブルの快楽に飽き足らず、薬物の快楽に誘われゆく女 快楽の前で、ストイシズムは嘲りを受ける 「鱶女」 十七歳の少年が抱く憧れと恐れが、海の妖怪譚に重なる 「ファンキー・ジャンプ」 ヘロインとジャズピアノがもたらす陶酔のうちに 過去の女と家族の記憶が錯綜する それはまさしく享楽 彼は奪う者であり、奪われる者でもあった 「狂った果実」 弟のストイックさに対する嘲笑と、それに裏腹な憧れ、嫉妬 かつて仲のよかった兄弟が狂ってゆく たとえばこれを、中河与一の「天の夕顔」に比してみたとき 敗戦体験が与えた衝撃の深さをうかがうことができよう
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言葉は生きものなので、時代によって使われる言葉が全然違っていたりします。 いくら時代が変わっても、不変であるものを書いている小説もありますが、時代を切り取って、その瞬間を描いている作品は、時代にあった言葉を使わないと伝わらないものがあるのだと思います。 思いますが、とても厳しい...
言葉は生きものなので、時代によって使われる言葉が全然違っていたりします。 いくら時代が変わっても、不変であるものを書いている小説もありますが、時代を切り取って、その瞬間を描いている作品は、時代にあった言葉を使わないと伝わらないものがあるのだと思います。 思いますが、とても厳しいときがあります。 例えば森鴎外などは、そろそろ現役の日本語から古典の日本語へとポジションを移してきています。 それはしょうがないことだなあと思います。 何しろ昔の人ですからね。 けれど、石原慎太郎は、今も存命の、現役の政治家の、同時代人です。 それが、こんなに日本語として違和感があるとは。 帰って宮沢賢治や太宰治の方が読みやすいくらいです。 「貴女(あなた)と会ったのは二度目ですよ」 「あら、前に何処で」 「なあおい。弟がね、電車の中で貴女を見つけたのだ。見初めたのかな」 「よせやい。やだな」 「あら」 なあおい。よせやい。 使いませんな、昨今は。 “奴を倒したのあ”とか“奴あ口が軽いぜ”とかの“あ”の使い方。 ヒリピンの選手。(フィリピン) 当時は本当にこんな言葉を使っていたのでしょうか? 使っていたのでしょうね。 お金に不自由することなく、楽しければとりあえず倫理観などとも無縁な、刹那的な生き方をする若者たちを書いています。 彼らを善とも悪とも断ずることなく、そのように生きるしかない乾いた空虚さなども書かれてはいるのですが、兄弟が出てくると必ず弟の純真無垢な部分が善となっているところをみると、弟・石原裕次郎に対する思いとか、粋がってはいるけれど何か満たされていない自分とかを書いているようにも思えます。 はっきり言って表題作は好きではありませんし、賭け事の描写に至っては全然理解もできませんでしたが、2点だけ。 世界観はよくわからないなりに、「ファンキー・ジャンプ」の言葉の勢いはすごいと思います。 自分の理想とする完璧な音楽を表現するために、ヘロインを打ち、体がボロボロになりながらもピアノを弾き続ける主人公の脳内からあふれ出ることば、リズム。 これには圧倒されました。 そして「鱶女」 だいたい先は読めるのですが、そして思った通りにストーリーは展開しますが、それでもこの作品は好きですね。 その時々に見せる表情を変える海。 海から現れたかのような謎の女。 謎の女ではあるけれど、まっすぐで健康的な彼女と、どこか歪んだような主人公の兄。そして村の男たち。 読んでいてわくわくしました。 わが人生の中で、石原慎太郎をほめることがあるとは思わなかった…。 だから読書は面白い。
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最初と最後の小説だけ読んだら、親友であった三島氏のことを思い出した。梅雨の時期なのに、幸魂が降ってくる予感がした。
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東京都知事、裕次郎の兄貴の石原慎太郎を初めて読む。尖閣諸島を東京都で買うとの発言で物議をかもしている時期でもあり古本屋で目に飛び込んで来たので購入。お騒がせ屋なのが成る程と合点がいくような内容の一遍である。任侠やくざでないと懸けないような冷酷な内容が綴られていておぞましい。作家と...
東京都知事、裕次郎の兄貴の石原慎太郎を初めて読む。尖閣諸島を東京都で買うとの発言で物議をかもしている時期でもあり古本屋で目に飛び込んで来たので購入。お騒がせ屋なのが成る程と合点がいくような内容の一遍である。任侠やくざでないと懸けないような冷酷な内容が綴られていておぞましい。作家とは偉大な妄想屋だというが、ならば石原慎太郎は凄い妄想屋だ。そして破壊屋だ。
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児童ポルノにご反対の石原都知事が書いた、集団レイプや不倫モノなどなど、きわどいテーマの短編集。これを読んで、ナゼ都知事が児童ポルノ反対に躍起になってるかが、全くわかんない。しかし、文書は上手い、面白い。
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非実在青少年である少女を輪姦して売春宿に売り飛ばして、最後は殺してハッピーエンドになる話。現・東京都知事が昔書いた。もし漫画だったら青少年健全育成条例が通ったら規制されてもおかしくない作品。
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当時としては斬新だったろう、若者のリアルな(?)生態を描いた小説集。 都知事以来、こういう小説はいつの時代も「それほど大差なく」書き続けられてきたのだと思う。一部を除いて。
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