中井英夫全集(9) の商品レビュー
日記というものは内容…
日記というものは内容がどうあれ、その人の心の動きの断片が見えるような気がする。愛する人が死ぬこと、愛する人を残して死ぬこと、どちらも辛い。
文庫OFF
夢想的な反世界が現実に打ち破られた敗戦の記録。 つまり「月蝕領崩壊」はあまりにも苦しく、つらく、情けなく……、悲しいという表現が適さないほどに惨めだ。 中城ふみ子のときのような「甘い」記録ではなく、徹頭徹尾、苦い。 (近親者を看取った際の度重なる見舞いの、一種の辛さについて...
夢想的な反世界が現実に打ち破られた敗戦の記録。 つまり「月蝕領崩壊」はあまりにも苦しく、つらく、情けなく……、悲しいという表現が適さないほどに惨めだ。 中城ふみ子のときのような「甘い」記録ではなく、徹頭徹尾、苦い。 (近親者を看取った際の度重なる見舞いの、一種の辛さについては、いうまでもない) 流薔園にて優雅でスノッブな生活を直前まで送っていただけに。 『月蝕領宣言』『LA BATTEE』『流薔園変幻』『月蝕領崩壊』
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主に日記を収録した巻。 小説のみならずエッセイでもかなり凝った、端正な文章を書くのが中井英夫だが、日記でそれがどんどん崩れ、悲痛な心情が記されていく様子には圧倒される。
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中井氏の全集の中の一冊。エッセイ・日記。何気ない日常のなかにも物語を見出す氏の感性もさることながら、後半の日記で、奪われ行く半身に、なすすべもなくすがりつくばかりの氏の姿が痛々しい。読みながら、涙が止まらなかった。
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