ドイツのロック音楽 の商品レビュー
ジャズや現代音楽を学んでいた人たちが、当時流行だったロックをやり始めたことで、新しい音楽が生まれたということがわかった。 楽曲の特徴的な部分について言葉化されていた。しかし専門的な用語の勉強不足もあって、意味の分からない部分もあったので、また読みなおしたいな。
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ジャーマンロックといえば、クラウトロックと呼ばれることがある。それが、ファウスト?の1曲目のタイトルで、「クラウト」がドイツの食卓に上る漬物のことだというのを初めて知った。「マカロニウェスタン」という言葉同様に、英米から見てドイツ独特の感覚を、半分は馬鹿にして、半分は畏敬をもって...
ジャーマンロックといえば、クラウトロックと呼ばれることがある。それが、ファウスト?の1曲目のタイトルで、「クラウト」がドイツの食卓に上る漬物のことだというのを初めて知った。「マカロニウェスタン」という言葉同様に、英米から見てドイツ独特の感覚を、半分は馬鹿にして、半分は畏敬をもって呼んだ言葉なのであろう。 ドイツのロック音楽といっても、カン、ファウスト、クラフトワークに絞って、彼らの全アルバムについて詳しく論じられている。 その中でも、クラフトワーク、とりわけ「アウトバーン」以降のアルバムについては歌詞の引用も多く、どんどんテンションが高くなって力のこもった解説がなされている。数あるロックアーティストの中で、なぜジャーマンロックなのか?なぜアモンデュールやアシュラテンペル、タンジェリンドリームではなく、カン、ファウスト、クラフトワークなのか?それは、60年代にはまだロック後進国だったドイツで、ロックを始めたのがジャズやクラシック畑出身の音楽家であったことから、フェイクとしてのロックができあがったという。多くのジャーマンロックが19世紀的ロマン主義を引きずっているのに対し、カン、ファウスト、クラフトワークはそうした懐古趣味を廃している。彼らに共通するのが様々な種類の音楽へのフェイクであり、力のこもっていない形での前衛だったのである。ズレの感覚、ユーモア、反復リズムなどの共通する特徴をもつ。とくにファウストの音楽はまったくもって「腑抜け」と形容するのが適切だ。それはロックが若者のエネルギーを吸収して巨大化し、現代音楽やフリージャズが極度の緊迫感をもって迫ってきたのに対する、彼らなりのアンチテーゼだったのかもしれない。 アルバムレビューにおいては、独特の文体が発揮される。アルバムや曲のタイトルをすべて邦訳しているところは、洋楽の曲がすべてカタカナタイトルになってしまった昨今ではひじょうにわかりやすい。ちなみにカン、ファウスト、クラフトワークは、訳すと「缶」「拳骨」「発電所」となる。もちろん、そのものの意味だけではなく、カンの場合、日本語の「感」「観」「勘」に通じることや、アラビア語などの意味も込めているという。ファウストは、もちろんゲーテの作品にちなむ。 詳細にわたる作品の実況中継は実際に聴きながら読むことで、音だけでは見逃しがちな点を指摘してくれる。それから、曲の時間はすべて秒単位で表記されている。 本としてのボリュームはそれほど大きくない。クラフトワークについての本は2,3冊出ているので、それと比べてどうなのだろうか?他は未読である。 初版は1997年に発表されていて、増補改訂された上での第二版となるようだ。
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