社会科到達目標と授業改革 3~4年編(3-4年編) の商品レビュー
書名が非常に硬くて、手に取りにくい感があるが、この本は2002年施行の学習指導要領に対して社会科はどのような構えを持しておくとよいのか、有田先生の提案が記されている。最も画期的であると考えられるのが、社会科の到達基準を系統表にまとめあげられたことである。この表をもとに目の前の子...
書名が非常に硬くて、手に取りにくい感があるが、この本は2002年施行の学習指導要領に対して社会科はどのような構えを持しておくとよいのか、有田先生の提案が記されている。最も画期的であると考えられるのが、社会科の到達基準を系統表にまとめあげられたことである。この表をもとに目の前の子どもたちを診断して授業に生かすことができる。この系統表ひとつとっても、多くの学びを取り出すことが可能である。 ① ことばの技術者 本書で心に残った言葉の一つである。 「教師という職業は、『ことばで教育する仕事』である」と言ってもよい。 「愛」を伝えるのも、最終的にはことばであり、このことばを補うものとして「目線」「表情」「態度・しぐさ」がある。 有田先生は、野口芳宏先生や向山洋一先生を「ことばの技術者」としてとらえ、さらに自身の話の反省から「ことばの技術をもちたい」と書かれている。 教師は、自身が使うひとつひとつのことばに意識的になり、周りにあることばに対して敏感でなくてはならない。 そして「ことば」の裏には、内容がある。 「多くの内容から、とぎすまされた『内容』として10分の1の『ことば』が出てくる。」 膨大なインプットが前提としてあり、それを「とぎすました」上での「ことば」としてのアウトプット…これができる教師こそが「ことばの技術者」である。 ② 有田式「指導と評価の一体化」 明確な「ねらい」があってはじめて「評価」ができる。 「ねらい」にそった「指導」があって、その効果はどうかと「評価」できる…まずは、この当然のことをできるようにすることが不可欠であると有田先生は言う。 そして「授業を進めながら、子どもたちの理解度を評価していく」「瞬時の評価」こそ、授業者の腕であり、子どもを伸ばすことになる評価である。 この評価には「一人ひとりの評価法を変え」て、その子にマッチした方法でおこなうことである。 そのためには、子どもウォッチング術が必要。 それは「予想をもって見る」ことである。 「指導する」とは、❶見えない(わからない)ことを見える(わかる)ようにすることであり、❷❶のプロセスで学習方法を体得させ、❸全体の学習を通して、学習意欲を引き出すことである。 評価も当然、この❶❷❸についておこなわれる。 そして大切なのが、評価しながら指導を工夫し、指導しながらその成果を評価することである。 ③ 社会科の新しい指導力 ❶みえないものをみえるようにすること…子どもの盲点をつき「えぇ?」「はてな?」といったことを引き出し、子どもが追究していくようにすること←基礎的内容に精通。子どもの能力の実態がみえているか。 ❷学び方(学習方法)を体得させること…学び方は教えて身につくものではない。子どもから引き出すもの。それらしい技能がみえたとき、ほめてその気にさせ、他へ広げていくようにする。 ❸学習意欲を引き出すこと…生涯にわたって学習しようとする意欲を引き出すこと←子ども自らが面白いことを発見し、学習意欲を出していくようにすること 学習技能を体得させるために有田先生は⑴活用の仕方を教え、何度も活用させる(活用する場面を何度も何度もつくる)こと、⑵「見る目と感動する心」を育てること、が大切であるという。⑵については【見ようとする心⇒見る⇒感動⇒はてな?発見】となると記している。子どもの心を育てることにもつながっている。そして、生涯学ぶ子どもを育てることである。教師は「生涯学ぶ」見本として子どもの前にあり続ける必要がある。
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