秘密の手紙 の商品レビュー

シュジーモルゲンステルン(著者),河野万里子(訳者)

2022/12/13

無音の暗い中で生活していた少年の日常が、少女とその家族との出会いで大きく一変する。読後が爽やかな気持ちになる本。中学生に勧めたい。

2012/01/11

美少年なのに笑ったことがないエルネスト。
とても孤独で退屈な毎日なのに、その自覚がないほどです。そんな彼の生活を、１４人も兄弟がいるというヴィクトワールが劇的に変えていきます。それまで経験したことのなかった「疑問」や「好奇心」といった感情にエルネストは混乱しますが、それが次第に彼の生活と人生を明るい方向へと導いていくのです。
10歳という年齢はとても重要なポイント。2人が出会えて本当によかった！ほほえましく面白くぜひ映像で見てみたいなと思いました。

2009/10/07

１０歳の少年エルネストは祖母と二人暮らし。
テレビもない質素な家で、メイドが作って置いていく決まり切ったものを食べ、時代から取り残されたように暮らしています。
母親は亡くなり、父親は行方不明。それまでに祖母は夫をはじめ全ての家族を亡くしていて、もう気力が残っていなかったのです。
虐待というわけではないのですが、子供が育つにふさわしい環境でないのがいたましい。
そういう生活しか知らないエルネストが気になっていたのは、閉じこもりがちの祖母が部屋で読んでいる古い手紙でした。

ある日、ヴィクトワールという少女が転校してきて、エルネストに一目惚れ。
１４人兄弟という大家族で育った明るい少女は、次々に扉を開けていき、エルネストは全てを新鮮に受け止めます。
おばあさんをレストランでの食事に誘い出すあたり、ほのぼのさせられました。
そして、写真でしか知らなかった父親が意外に近くで生きていることを知り…

前半の凍りついたような状況から、一気に事態が動いていく様が心地よく、暖かい気持ちになります。
フランス児童文学大賞はじめ、１６もの賞に輝いたという作品です。