バルザックと小さな中国のお針子 の商品レビュー
2022/8/20 時は戦前の話ではない。恐らく文化大革命時代の1966年〜1976年で中国農村部に再教育の名の下に『農村で学べ』と都市から追放された高等教育の子弟が多かった。そんな10代後半の知的好奇心旺盛な2人の青年の日常と偶然にも知り合った少女を巡っての情愛を描く青春小説か...
2022/8/20 時は戦前の話ではない。恐らく文化大革命時代の1966年〜1976年で中国農村部に再教育の名の下に『農村で学べ』と都市から追放された高等教育の子弟が多かった。そんな10代後半の知的好奇心旺盛な2人の青年の日常と偶然にも知り合った少女を巡っての情愛を描く青春小説か。
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書物は血となり骨となり、肉となる。 バルザックがもたらした小さなお針子への大きな革命と精神の昇華。 大文化革命期の中国。鳳凰山での再教育中の閃光のような青春。
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バルザックを読むついでに借りた本。 ちょっと読み始めたらページをめくる手がとまらなくなって、1~2時間ぐらいで一気に読んでしまいました。しかも元々の目的のバルザックより前に。 当時の中国に少し興味があったのもあり、読んで良かったと思えた。 最近読む本はアタリが多いので嬉しいです...
バルザックを読むついでに借りた本。 ちょっと読み始めたらページをめくる手がとまらなくなって、1~2時間ぐらいで一気に読んでしまいました。しかも元々の目的のバルザックより前に。 当時の中国に少し興味があったのもあり、読んで良かったと思えた。 最近読む本はアタリが多いので嬉しいです。
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あらすじ 1968年の暮れ,高等教育を受けた高校生は田舎に送られ,貧農下層中農による再教育を受けるという下放運動が毛沢東によって起こされた。1971年,僕と親友の羅(ルオ)は,中学の三年を終えただけで知識人として鳳凰山に送られた。僕らはそこで美しい仕立屋の娘「小裁縫」と恋に落ちた...
あらすじ 1968年の暮れ,高等教育を受けた高校生は田舎に送られ,貧農下層中農による再教育を受けるという下放運動が毛沢東によって起こされた。1971年,僕と親友の羅(ルオ)は,中学の三年を終えただけで知識人として鳳凰山に送られた。僕らはそこで美しい仕立屋の娘「小裁縫」と恋に落ちた。また,禁書であるバルザックの『ユルシュール・ミルエ』を手に入れた僕らは,貪り読んだ。このバルザックとの出会いが,僕と羅と小裁縫の運命を変えることになる。 感想 200ページ弱の中編小説なのでサラッと読み終えた。内容も分量と同じく小粒だった。 再教育は僕と羅には成果はなかったが,バルザックが小裁縫に与えた教育の成果は大きかった。この対比は面白い。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
この映画を劇場で見たあとの 余韻が長かったことは忘れません で、原作を図書館で見つけ、拝借 どうやら原作者兼監督の、実体験を元に作られた作品らしいのですが 自分だったら、恨み節のひとつやふたつ交えてしまいそうな体験でも ユーモアを交えつつひとつの作品にとして昇華しているってことは 御本人の中で完全に消化できてる体験なんでしょうね (うまくない!) 都会のボンボンが 社会の政策により立場を弱くして文化的未開の山奥にぶち込まれ (山っつっても、中国のそれは日本のとは大違いでしょう。 日本の山のトレッキングコースでさえ息を切らしてしまう私には到底想像がつきませんが) 肉体労働に従事 国全体で外国の本も禁止されている上、山奥という僻地で 一冊の本の存在価値たるや そして出会う、一人の美しい山の少女 結構前ではありますが、映画を先に見ているので 克明なイメージの中、読み進めることができました 水中でのシーンはやっぱりドキドキするなあ いきなり「証言」風語りで挿し込まれるのもよかった 老爺による覗き見はエロいっす 過酷な状況だろうに都会の文明から送り込まれた山奥でのお話は アダム二人イブ一人な感じの 楽園ではないけど そんな青春
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文革時代に知識階級(医者)の息子の青年が再教育という名目で西洋のことなど何にも知らない山村に送られる。これが60年代の中国と思えば、矢張り凄まじき思いがするが、つらつら考えれば矢張りアジアはいつも傷ついており、アジアに「青春」など存在しないということ。
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まず映画から観て、興味も持ち原作を読んだ。原作、映画化とも、作者ダイ・シージエが手がけている。 映画では幻想的な中国の山間の情景描写や、文革による再教育での過酷な労働や劣悪な生活環境の描写が美しかったが、小説ではやや読み疲れる。翻訳の文章に読みなれていないせいかもしれないが。 映...
まず映画から観て、興味も持ち原作を読んだ。原作、映画化とも、作者ダイ・シージエが手がけている。 映画では幻想的な中国の山間の情景描写や、文革による再教育での過酷な労働や劣悪な生活環境の描写が美しかったが、小説ではやや読み疲れる。翻訳の文章に読みなれていないせいかもしれないが。 映画ではお針子役の女優の魅力もあって、お針子の人物像がいきいきと描かれるのであるが、小説ではあくまで僕と羅が主体になっていて、お針子はやや添え物の感がある。そこは残念。 しかし、ダイ氏の個性的なことは、他の中国人作家達と違って、文革の時代を描きながら、けして恨みがましいものにはしないところだ。特に、女性が被害者とならず、自分の足で立っているところが際立っている。やはりフランスで暮らしてきたことが大きいのだろうか。 禁じられるほど文学や芸術を求める人の魂。その結果もたらされる歓喜と苦悩。 テーマ、題材はケチのつけようがない。良書である。
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図書館で借りました。観たことは無いですが映画になった作品だよなあ、と思って。かわいい表紙ですね。 文革時代に再教育のため山中に送られた青年のお話なのでどんなに暗い、辛いお話だろうと思ったらそれほど暗いお話ではなくホッとしました。とは言えまるっきり明るいだけのお話ではありません...
図書館で借りました。観たことは無いですが映画になった作品だよなあ、と思って。かわいい表紙ですね。 文革時代に再教育のため山中に送られた青年のお話なのでどんなに暗い、辛いお話だろうと思ったらそれほど暗いお話ではなくホッとしました。とは言えまるっきり明るいだけのお話ではありませんが。本が読めない時代なんて嫌だなあ…。本を焼く人はそのうち人を焼くようになる。本当にその通りですね。 最後の彼女の選択は胸がすくようです。書を捨てよ、町へ出ようではありませんが男にとって都合よく教育されたのではなく、自らが変身しなくては!
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えらく小説的な本であると思った。 難解であるとか、深遠な思想がこめられているとかそういう訳ではない。 文化大革命時代を描いてはいるが、主人公も友人も引き離された家族を心配するでもなく遊んでばかりで暗い風潮とは無縁であり、むしろ牧歌的な雰囲気さえ漂う。 二人の少年と一人の少女(ご多...
えらく小説的な本であると思った。 難解であるとか、深遠な思想がこめられているとかそういう訳ではない。 文化大革命時代を描いてはいるが、主人公も友人も引き離された家族を心配するでもなく遊んでばかりで暗い風潮とは無縁であり、むしろ牧歌的な雰囲気さえ漂う。 二人の少年と一人の少女(ご多分に漏れず明るい美少女だ)をめぐる、共通の趣味と、師としての本と、冒険と、恋と、別れ。 物語の作り方として、一般的な小説と言うものの類型にこれほど沿っているものがあるだろうか。 まさに筆者は「小説」を書きたかったのだろう。 文化大革命期の中国に生き(そこではあらゆる芸術は貴重だった)、フランス留学の際にそのままヨーロッパに定住することを選んだ作家が自分を見出したのは、プロレタリアートや共産主義の中ではなく、愛や個人主義といったものの中だった。 彼が自らを語るために選んだ言葉は母国語である中国語ではなく、バルザックを生んだ自由の国の言葉フランス語であった。 フランス語でなければ筆者は彼の文革を赤裸々に語ることができなかった、そのことは「解放する言語であるフランス語」のようなものを感じさせる。 これは「クレオール礼賛」(図書館の同じフランス文学コーナーに置かれていたのだ)でヴィジオン・フランセーズとしての「抑圧する言語であるフランス語」について書かれているのとは好対照だ。 おそらく母国で教育され、大人になってから西洋的価値観に触れたか、それともフランス的に教育され、大人になってから母国の文化と向き合うようになったかの違いだろう。 「バルザックと中国のお針子」はあまり分厚い本ではない。 ストーリーは類型的で、特に目新しくもない。 だがその中にはぎゅっと「文学のエッセンス」が詰まっている。 中国人作家の手による、中国を舞台にして書かれた小説ではあるが、私がこれを図書館のフランス文学コーナーで見つけたのは、この本が紛れもないフランス文学の精神を持っているからなのだろう。
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2000年の作品。 1966〜76年の中国では文革の時代、エリートとその子どもは農村へ送られて再教育を受けた。 医者の息子で親友同士の羅(ルオ)と僕、メガネの3人は、鳳凰山という苛酷な地で、辛い仕事に就く。 モーツァルトの曲を毛主席をたたえる歌として弾き、映画のあらすじを村長に語...
2000年の作品。 1966〜76年の中国では文革の時代、エリートとその子どもは農村へ送られて再教育を受けた。 医者の息子で親友同士の羅(ルオ)と僕、メガネの3人は、鳳凰山という苛酷な地で、辛い仕事に就く。 モーツァルトの曲を毛主席をたたえる歌として弾き、映画のあらすじを村長に語って聞かせたりと意外な楽しみも。 メガネが密かに持ち込んだバルザックの本を回し読みし、仕立屋の娘の美しい少女・小裁縫(シャオツアイフォン)に話して聞かせる。 きびしい暮らしでも10代の若さが清新で、現実とかけ離れた本の内容に夢中になる様子や意外な展開で面白く読ませます。 モンテクリスト伯を9晩かけて語ったというのは実話だそうです。 作者は1954年生まれ、医師の両親の息子として生まれる。71〜74年、下放政策により四川省の山岳地帯で再教育を受ける。84年にパリ留学、のち映画監督に。この作品は初の小説で、フランス語で書かれ、フランスで40万部のヒット。2002年、この作品を自ら映画化。
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