深追い の商品レビュー
2005年、2010年、2011年‥ドラマ化 7編からなる短編のどれも安定の面白さです。警察小説のジャンルの中でもこれほどたくさんのコマを持っていることに驚かされます。元新聞記者であった横山さんの、文章を書く生業(なりわい)に就いていた経験値が生きているのだと思います。 警察...
2005年、2010年、2011年‥ドラマ化 7編からなる短編のどれも安定の面白さです。警察小説のジャンルの中でもこれほどたくさんのコマを持っていることに驚かされます。元新聞記者であった横山さんの、文章を書く生業(なりわい)に就いていた経験値が生きているのだと思います。 警察という組織の、絶対服従のヒエラルキーの中で、破裂しそうな内面を抱えた男たちが出てきます。すべて三ツ鐘署が舞台です。以下、ご参考までに短くご紹介します。 【第1話】交通事故死した男の妻の発するポケベルのメッセージを、秘密裏に受信する交通課巡査部長秋葉の『深追い』 【第2話】海で溺れかけた少年を救助した大学生の、直前のスナップ写真の謎を解く鑑識係三枝の『又聞き』 【第3話】親子二代 “宵空きの岩政”という空き巣を追う“泥棒刑事”尾花の失態『引き継ぎ』 【第4話】定年退職する警官の再就職先を探すのに苦慮した警務係長滝沢の、挙げ句の果ての顛末『訳あり』 【第5話】いじめを受けた経験がある生活安全課少年係三田村が、老人の発した意味不明の言葉からひらめいた犯人とは?『締め出し』 【第6話】ホームレスの死が思わぬ展開を見せて、息子のお受験や自分の進退にまで影響を及ぼす三ツ鐘署次長駒場の心情を写し出す『仕返し』 【第7話】 草花博士と異名を取る遺失物係課長西脇の所へ届けられた花屋の会員証。その持ち主にたどり着いた時の不可解さと疑念『人ごと』 など、警察小説でありながら自分のことに置き換えても共感を呼ぶ一冊です。
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横山秀夫の警察小説。今回は、三ツ鐘警察署を舞台とするそこの警察署に勤務する人々(警察官だけではない)をそれぞれ主人公とする短編集。各編がきちんとプロットがあって横山秀夫らしい小説。
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横山さんは 人の本音っていうか自分でも認めたくない醜い思いを必ず書いてはるなぁ。 私も人の幸せ妬んだりする気持ちがあるけれど できればそれは封印してしまいたい気持ちで、そして誰にでもあるような気持ちなんじゃないかな。 どのお話の登場人物も親しみを持てるのは、そういう思いが描かれて...
横山さんは 人の本音っていうか自分でも認めたくない醜い思いを必ず書いてはるなぁ。 私も人の幸せ妬んだりする気持ちがあるけれど できればそれは封印してしまいたい気持ちで、そして誰にでもあるような気持ちなんじゃないかな。 どのお話の登場人物も親しみを持てるのは、そういう思いが描かれてるからかも知れないです。 文庫本を購入しました。 しかし少し背が高い。並べたら頭が飛び出る。
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横山秀夫。連作短編集。 三ツ鐘警察署の中で、七つ部署にスポットをあてて。 同じ所轄内だけれど、どれも全然色が違う物語。ヒーローはいない。一警察官が、誘惑なり、下心なり、個人の勝手な事情なりに揺れるのだ。どこに進むか良心を信じたい読み手に、ちゃんと落としてくれて、後味がいい。
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図書館にて借りました。 警察小説集7作品収録。 公務員でありながら警察はどこか役所とは違う世間のような気がする。 でも、彼らも私たちと同じ市民であり、人間なんだ、変わりないんだと思う作品。
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警察モノの短編集。事件を追う話というよりは三ツ鐘署の中で働く人たちが様々な出来事や人間関係で悩んだり考えたりする内容でした。堅苦しくなく読めました。 警察官、過去もあり悩みもありストレスを抱え、…大変なんだなぁと妙に同情してしまいました。 警察内部の人間関係や隠蔽だとか内輪もめみ...
警察モノの短編集。事件を追う話というよりは三ツ鐘署の中で働く人たちが様々な出来事や人間関係で悩んだり考えたりする内容でした。堅苦しくなく読めました。 警察官、過去もあり悩みもありストレスを抱え、…大変なんだなぁと妙に同情してしまいました。 警察内部の人間関係や隠蔽だとか内輪もめみたいなドロドロした部分も話としては面白いし、そういう本を怖いモノ見たさで読んでしまうけど、実際の警察官には、やはり正義の味方であってほしいなぁ。警察内の汚い部分は小説の中だけであってほしいです。
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〈内容〉事故死した夫のポケベルに、メッセージを送り続ける妻。何のために?誰のために…。事故と事件の狭間に揺れる様々な思惑を見事に描く著者独自の警察小説。
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短編集でありながら、奥が深い、と思わせる作品群。 タイトルでもある深追いは、昔ひと時の間だけ恋人であった女性の夫が亡くなり、偶然仕事として居合わせた男がポケベルを拾う。 夫が亡くなった後も定期的に届いていた夕飯を知らせるメッセージ。 昔の恋人が気にかかり、事件の真相を「深追い」し過ぎていくお話。 短編ならではの収束感はさすが、と言ったところだなあ、と思いました。
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いつもながら組織のことがリアルに描かれてます。記者の動きなんかは、さすがです。 話は最後の人情ネタが良かったです。
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相変わらずプロットが巧みで読ませる。ちょっとボリュームが少なく描きこみ不足の感はあり。「又聞き」がベスト。なんとも言えない読後感がある。
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