なぜ政府は信頼されないのか の商品レビュー
政治への冷笑主義が、民主主義へ及ぼす負の影響は甚大である。 米国憲法では徹底的な討議と自由を守ることは表裏一体と考えられているが、例えば、政治家が30秒広告で国民に何を訴えればよいかを政治家コンサルタントが世論調査やフォーカスグループを利用して探ることしか出来なくなった状況では...
政治への冷笑主義が、民主主義へ及ぼす負の影響は甚大である。 米国憲法では徹底的な討議と自由を守ることは表裏一体と考えられているが、例えば、政治家が30秒広告で国民に何を訴えればよいかを政治家コンサルタントが世論調査やフォーカスグループを利用して探ることしか出来なくなった状況では、協議による民主主義は本質を喪失し堕落しているといえよう。シニシズムが市民の参加を阻害することで協議を崩壊せしめている為である。多くの先進国で共通して露見している現象であるが、こうした「不信感」は最終的に社会の統合の破たんを招くのである。 この現象については既にオープンガバメント的施策など既に処方箋が摸索されつつあるが、本著の目的は解決法の摸索ではなく現象の因果関係についての分析である。本著では政府の行動自体の評価、経済的要因、文化的要因、個別事例の影響、技術的側面あるいは日本での「不信感」に特異性はあるかという観点などから複数の論者が複眼的に分析している。 全ての視点をここに要約する事は適わないが、これらは従来の「政府の規模が拡大しすぎたからである」「政府の仕事内容が極端に腐敗したためである」といった紋切型の解説を、データを用いて否定している。本書を通じて浮かび上がってくるのはむしろ、政府への期待を過剰に肥大させ、情緒的に評価を揺らがせる市民の姿である。 具体的方法論の摸索として、ジョセフナイ本人の『グローバル化で世界はどう変わるか―ガバナンスへの挑戦と展望』や『「統治」を創造する 新しい公共/オープンガバメント/リーク社会』などにも繋がる一冊であろう。しかしこうした新たなガバナンスの施策を模索する前に、足を止めて現状の分析を行うことも劣らず重要である。
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通読。今後の研究。 ○制度への信頼、体制の安定→税金(決定的な資源)の提供、優秀な人材、法律の自発的な遵守 ○それぞれの要因の検討 ・政府の領域の拡大?:事業評価と政府の評価の隙間は?? ・経済的要因?:経済成長、競争激化、格差、創造的破壊によるダウンサイジング ・社会的・文...
通読。今後の研究。 ○制度への信頼、体制の安定→税金(決定的な資源)の提供、優秀な人材、法律の自発的な遵守 ○それぞれの要因の検討 ・政府の領域の拡大?:事業評価と政府の評価の隙間は?? ・経済的要因?:経済成長、競争激化、格差、創造的破壊によるダウンサイジング ・社会的・文化的原因?:社会資本の衰退、中間制度の消失、個人主義、権威の失墜、権利に係るコスト、政府へのオーバーロード ・政治的要因?:公益の不在、報道の過熱 原因を直接、間接、構造的原因に分けて考える。
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