傷ついた物語の語り手 の商品レビュー
物語の3分類:回復の語り(restitution narrative)、混沌の語り(chaos narrative)、探求の語り(quest narrative)が参考になりました。
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語りによって、病が治るわけではない。語りによって、かえって混乱がもたらされる場合もある。けれども、身に感じた苦しみは、ひとりのものではないだろう。著者のつぎの表現にグッとくるものがあるのだ。「他者の声を聴くことによって私たちは自らの声を聴くのだということを私は示したいと思う。物語...
語りによって、病が治るわけではない。語りによって、かえって混乱がもたらされる場合もある。けれども、身に感じた苦しみは、ひとりのものではないだろう。著者のつぎの表現にグッとくるものがあるのだ。「他者の声を聴くことによって私たちは自らの声を聴くのだということを私は示したいと思う。物語の証人となる瞬間に互いが互いを必要とする関係が結晶化する。その時、それぞれの人間は、他者のためにあるのだ」という他者理解のあり方もありうるのではないか。
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2017年32冊目。 「病む人は病いを物語へと転じることによって運命を経験に変換する」 この一文が、この本の大きなメッセージを表していると思う。 その経験は、自分の中での納得・消化に留まらず、 その物語を聴いた他者の癒しにも繋がる。 むしろ、そうして他者に対して開かれ、他者との...
2017年32冊目。 「病む人は病いを物語へと転じることによって運命を経験に変換する」 この一文が、この本の大きなメッセージを表していると思う。 その経験は、自分の中での納得・消化に留まらず、 その物語を聴いた他者の癒しにも繋がる。 むしろ、そうして他者に対して開かれ、他者との関係性を築いていく中でこそ、 探求の物語は形成され、自身の声を取り戻していける。 医療科学によって「語られた」存在から、いかにして自ら「語る」存在になっていくか。 病い「について」の物語から、いかにして病い「を通して」の物語に変えていけるか。 起きてしまった過去の価値を決めるのは、その経験を未来にどう生かしていくかの「意志」だと思う。 その意志を確立していくために、物語はどう語られていくのか。 それを知るために、物語の種類や、それを語る身体の種類を類型化している本書はとても役に立つと思う。 病いを経験して物語にしようともがいている人に寄り添う立場にある人に取っても。 物語が自己を生成し、生成された自己がまた物語を語り直していく。 その循環を始めるために、自身の声を取り戻していきたい。 【メモ】 ・規律化された身体(管理):「統制」=予測可能、「欲望」=欠落、「身体とのかかわり」=分離的、「他者とのかかわり」=個々に閉ざされている ・鏡像的身体(消費):「統制」=予測可能、「欲望」=産出的、「身体とのかかわり」=統合的、「他者とのかかわり」=個々に閉ざされている ・支配する身体(力):「統制」=偶発的、「欲望」=欠落、「身体とのかかわり」=分離的、「他者とのかかわり」=互いに開かれている ・伝達する身体(承認):「統制」=偶発的、「欲望」=産出的、「身体とのかかわり」=統合的、「他者とのかかわり」=互いに開かれている
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自分の癌をきっかけにして書いているが、社会学以外の学生には理解しづらいと思われる。抽象的論理の積み重ねなので、ある程度、社会学の知識がないとわかりづらい。
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