1,800円以上の注文で送料無料

ミシェル・フーコー思考集成(10) の商品レビュー

5

1件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    0

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2019/06/06

フーコーの最後の年1984年以降に発表されたエッセイやインタビューなど。 84年のフーコーは、体調がわるいなか、コレージュ・ド・フランスの講義を行い、「性の歴史」の2〜3巻を仕上げ、さらに4巻も完成にかなり近いところまで校正を進めている。 そういうなか、エッセイなどの文章は少...

フーコーの最後の年1984年以降に発表されたエッセイやインタビューなど。 84年のフーコーは、体調がわるいなか、コレージュ・ド・フランスの講義を行い、「性の歴史」の2〜3巻を仕上げ、さらに4巻も完成にかなり近いところまで校正を進めている。 そういうなか、エッセイなどの文章は少ないものの、かなりのインタビューを受けていて、「性の歴史」の解説的なものだけでなく、フーコーの仕事全体をあらためて振り返るような内容も多い。 常に変化しつづけることを目指していたフーコーなのだが、ミネルバはふくろうは夕暮れに飛び立つ的な全体を統合的に理解させてくれる見取り図になっている。(もっと長生きしていたら、この全体像もまた大きく変わっていたとは言い切れないのだが。。。) アメリカでのインタビューがいつくか収録されていて、これがすごくわかりやすい。 しばしば、ナイーブとも思われる質問にたいして、フーコーさん、いつになく丁寧に説明してくれていて、ブラボー。 しばしば、フーコーは全ては権力のなか、あるいはディスクールのなかにあるみたいな悲観的な思想として批判されるし、わたしもそういうふうに思ったことあるのだが、これを読むと、フーコーは自由の人なのだということがわかる。 人は、自分が思っているより、もっと自由なのだ。 というのが、フーコーのラストメッセージ。

Posted byブクログ