生麦事件(上) の商品レビュー
横浜郊外の生麦村で起…
横浜郊外の生麦村で起きた事件を描いたもの。薩摩の大名行列に騎馬で通りかかったイギリス人を薩摩藩士が斬った。その後の処理を巡る駆け引きなどが見物である。
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名前は知っていても内…
名前は知っていても内実は詳しく知らなかったので勉強になった。
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R6(2024).4.13~5.4 (きっかけ) 友人からもらった。 (感想) 吉村昭先生の本、2冊目。 1冊目は「桜田門外の変」。 その時(2016年)の感想は、「様々な資料をもとに、関係者がどのように動いたかを淡々と綴っており、教科書みたいで読みにくい!」でしたが、今回は「それがいいね~」でした。8年で私も成長したのでしょうか。 吉村先生の本を読むと、司馬遼太郎先生に叩き込まれた「長州藩すげえ」が、「長州藩、運がよかっただけでちょっとアレですね…」になりますね。勉強になります! で、「生麦事件」自体はこの上巻の最初に終わってしまって、「え、もう物語終わったんだけど…」となりましたが、このあとの描写がこの小説のメインなんですね。 上巻では、生麦事件発生→幕府とイギリスの交渉(ここがメイン)→イギリス艦隊が薩摩へ。薩摩は迎え撃つべく武装強化 まで。 さてさて、この後は、まだ長州藩の暴走と、薩摩藩の成長がみられるのでしょうね。楽しみ!
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かなり早い段階で事件が起こって、これからどうするん?と思ったけど、その後のほうが大事なのね………。攘夷と外国協調路線、薩摩藩、幕府、朝廷それぞれの思惑とパワーバランス。激動期をダイナミックに描く。
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「法に従ったとはいえ、殺すのはよくない」「事に付け込んで列強が攻めにくる」。倫理面、政治面から薩摩側を責めたくなりがちだ。当の藩も嘘の言い訳をし、暗に非を認めている。ただ、当時の国際世論はあながち一方的でもない。NYタイムズは被害者側の無礼さこそを断罪している。攘夷は無謀だ。しか...
「法に従ったとはいえ、殺すのはよくない」「事に付け込んで列強が攻めにくる」。倫理面、政治面から薩摩側を責めたくなりがちだ。当の藩も嘘の言い訳をし、暗に非を認めている。ただ、当時の国際世論はあながち一方的でもない。NYタイムズは被害者側の無礼さこそを断罪している。攘夷は無謀だ。しかし、その後の歴史が証すように抵抗することで独立が保てた。生麦事件、下関戦争。どんな争いにも多面性がある。幕府、薩摩、長州、列強。今のところでどこにも肩入れして読んでいない。後編、薩英戦争。新たな視点が得られることを期待する。
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生麦事件が起こった,としか日本史では習わないが,この事件こそが近代日本になるべく薩摩藩を押し進めた最大の要因とも言える一大事であり,あまりに面白く,手に汗握る展開で2冊を一気に読み終えてしまう.
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神奈川県を舞台とした小説の一つとして。 タイトルの通り、幕末の大きな事件の一つである「生麦事件」を扱った歴史小説です。 作者の吉村昭は『羆嵐』などで有名ですが、史実に基づいた精緻な描写がこの作品でも展開されています。 幕府や薩摩藩の対応を批判するのでもなく、かといって賛美するの...
神奈川県を舞台とした小説の一つとして。 タイトルの通り、幕末の大きな事件の一つである「生麦事件」を扱った歴史小説です。 作者の吉村昭は『羆嵐』などで有名ですが、史実に基づいた精緻な描写がこの作品でも展開されています。 幕府や薩摩藩の対応を批判するのでもなく、かといって賛美するのでもなく、冷静な視点から描かれており、戦闘描写・外交交渉の様子などもとてもリアルに感じます。 特に、事件についての久光の主張「生麦村の事件については、家臣が外国人に斬りつけたのはやむを得ぬことと久光はその行為を是認していた。大名行列は、班の威信をしめすもので、藩士たちは身なりを整え、定められた順序に従って整然とした列を組んで進む。それは儀式に似たもので、その行列を乱したものは打果たしてもよいという公法がある。日本に居住する外国人たちは、日本で生活するかぎり、その公法を十分に知っているべきであるが、殺傷された外国人たちは下馬することもなく、馬を行列の中に踏み込ませるという非礼を働いた。それは断じて許されるべきではなく、斬りつけたことは当然といえる。▼しかし、国情のちがいからニール(英国代理公使)が憤激し、強硬な態度で激しい抗議をしているのも無理はなく…」もわかりやすくまとめられていましたし、生麦での事件そのものの描写も、殺傷された外国人の前には「礼儀」を守った外国人がいたことなども描かれているほか、「無礼」な4人の外国人たちにも悪意が無かった(意図的に行列を軽視して列を乱したわけではなかった)ことなども描かれていて、興味深く読むことができました。 一方で、やや、長州藩に対しては少し批判的な印象も受けました。 事件勃発から。薩英戦争前夜までが上巻では描かれています。 【下巻に続く】
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幕末の薩摩藩によるイギリス人殺傷事件について、事件が起こった後の薩英戦争や長州と4カ国連合艦隊との戦争など、時代背景や列強との交渉における両国の話し合いの詳細について淡々と説明する。著者の小説の特色だろうが、主人公などの設定は基本的には無く、ただ淡々と説明する感じであり、司馬や宮城谷小説を愛読する方には物足りないだろう。ただ、生麦事件という、それだけを扱った著書はあまりないため、それについては、その詳細を知るには役立つ。 さて、その生麦村の事件については、薩摩藩の家臣が外国人に斬りつけたのは島津久光はやむを得ぬことと、その行為を是認していたし、外国人であり、幕末から明治維新までをつぶさに見てきたアーネスト・サトウも、斬られたイギリス人について、その振る舞いや、薩摩藩の事前の注意喚起など総合的に見て、斬られても仕方ないこととイギリス側の非を認めていた節がある。大名行列は、藩の威信を示すものであり、藩士達は身なりを整え、定められた序列に従って生前とした列を組んで進む。それは儀式に似たもので、その行列を乱したものは討ち果たしてもよいという公法がある。日本に居住する外国人たちは、日本で生活する限り、その公法を十分に知っているべきであるが、殺傷された外国人たちは、下馬することもなく、馬を行列の中に踏み込ませるという非礼をはたらいた。それは断じて許されるものではなく、斬りつけたことは当然といえる。しかし、国情の違いから、イギリス公使ニールが憤激し、強硬な態度で激しい抗議をし、武力行使にでるといきりたつのも、これまた無理からぬことだったのかもしれない。 そして薩英戦争に至るのだが、戦争に至るのはやはり当初は、日本でも先進的な薩摩藩といえども攘夷論が藩を支配しており、少しでも批判めいた言葉をもらそうものなら、激しく面罵され、ことと次第では、命までとられかねない実情であった。しかし、薩摩がすごいのはそれからだ。イギリスとの戦争を経験し、勝敗は五分五分、というよりは、イギリス側が、薩摩がそんなに準備万端で、良く統制も取れているとは知らずに、準備不足のまま、恫喝すればいちころよ、と簡単な気持ちで挑んだことが、五分五分より薩摩側の勝利であったような戦いだった。しかし、戦争に従事した藩士達は、イギリス艦隊の想像を絶した戦闘力に茫然自失という有様だった。自由自在に素早く行動する各艦から発射される椎の実型の砲弾は、驚くほどの距離まで飛び、命中精度は高く、破壊力もすさまじい。藩の所有する兵器とイギリス艦隊の装備とは、比較にするのも愚かしいほど大きな隔たりがあり、欧米諸国の武器の著しい進歩に日本がはるかに取り残されていると感じ、すぐさま方向転換、攘夷から開国へと思想転換したところがすごいのだ。非常に柔軟なものの考えであったし、これは、長州も同じであった。 そして、イギリス側と和議を結び、外国の軍艦や武器の調達を急激に進め、倒幕へと進んでいくのである。 でも、やはり誰かを主人公にして、会話を取り入れながら話が進む歴史小説の方が私は好みなので、★2つ。買って、読み進めた後で、しまった、この人だった、と思ってしまったが、冒頭に書いたように、珍しい題材だったので最後までよんだ。 全2巻
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★★★2016年1月★★★ 生麦事件という事件を通して幕末史を深く分析した作品。「大名行列を横切った外国人を薩摩藩士が殺害した」という事件を、薩摩藩、幕府、外国人それぞれの動きが詳しく書かれている。これを読むと「幕府が可哀想」と思ってしまう。それぞれの人間に立場や苦悩があるん...
★★★2016年1月★★★ 生麦事件という事件を通して幕末史を深く分析した作品。「大名行列を横切った外国人を薩摩藩士が殺害した」という事件を、薩摩藩、幕府、外国人それぞれの動きが詳しく書かれている。これを読むと「幕府が可哀想」と思ってしまう。それぞれの人間に立場や苦悩があるんだと感じた。少し驚いたのはまるで島津久光が名君であるかのようになっていることだ。こんな本は初めて。 ☆☆☆2019年3月☆☆☆ 行列を横切ったという理由で殺されてしまったリチャードソンを憐れに感じた。彼らにも悪気はなかったように感じるから。また、立派だと思ったのは事件発生直後の英国公使ニールの冷静な態度。決して感情的にならず、横浜での戦争発生を防いだ。前回読んだ時と同様、島津久光が名君として描かれているのには違和感を感じた。 それにしても、事件発生直後に薩摩側から英国居留地を襲撃しようという計画を本気で持ち出した人物がいたというのも驚きだ、勇敢というか、野蛮というか。 この一連の事件では幕府に同情してしまう。
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江戸幕府、朝廷、長州藩、薩摩藩の夫々の動静がよくわかりました。イギリス代理公使に対する返答の引き延ばしのあれやこれやは、いまの政府の国会での答弁のように思えてきました。今も昔も言い訳には苦労しています。
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