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清陰星雨 の商品レビュー

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2023/03/29

「清陰星雨」中井久夫著、みすず書房、2002.04.05 270p ¥2,625 C0095 (2023.03.25読了)(2023.03.17借入) 神戸新聞に三カ月に1回のペースで1990年から2001年まで掲載したエッセイをまとめたものです。各エッセイに補足的なものが追加...

「清陰星雨」中井久夫著、みすず書房、2002.04.05 270p ¥2,625 C0095 (2023.03.25読了)(2023.03.17借入) 神戸新聞に三カ月に1回のペースで1990年から2001年まで掲載したエッセイをまとめたものです。各エッセイに補足的なものが追加されています。 著者は、精神科医ですが、仕事の話はあまり書いていません。 【目次】 一九九〇年以後の世界―はじめに 人間であることの条件―英国の場合(1990年) ささやかな中国文化体験 「故老」になった気持ち 戦後に勇気づけられたこと(1991年) ロシア人 花と時刻表 国際化と日の丸 一夜漬けのインドネシア語(1992年) ワープロ考 外国語が話せるということ 冷戦の終わりに思う 一医師の死(1993年) ある少女 戦時中の阪神間小学生 新制大学一年のころ 〔ほか〕 ●多種多様な日本人(166頁) ミトコンドリアのDNA解析によれば、日本人ほど多種多様なものはないそうである。東アジア、東南アジアはもちろん、コーカジアン(いわゆる白人)はもとよりアフリカの血もけっこう入っているから驚く。道の人種まであるそうだ。ここ以外では亡んだのかも。 ●日本人の外国語下手(191頁) 日本人が外国語に弱かったのはニーズが少なかったからだろう。アメリカ人も弱いが、それは英語が世界中で通じてしまうからだ。 ●世紀の前半に戦争、後半に産業革命(248頁) なぜか、世紀の前半に戦争があり、その後の比較的安定した世紀後半に産業革命が起こる。十七世紀は水力、十八世紀は蒸気力、十九世紀は電気と石油、二十世紀は主として情報機器による産業革命である。 ☆関連図書(既読) 「復興の道なかばで」中井久夫著、みすず書房、2011.05.10 「「昭和」を送る」中井久夫著、みすず書房、2013.05.20 「中井久夫スペシャル」斎藤環著、NHK出版、2022.12.01 「心の傷を癒すということ」安克昌著、角川ソフィア文庫、2001.12.25 (アマゾンより) 「1989年に冷戦が終わり、驚くべき一致で昭和天皇が逝去した。40年以上続いた冷戦の終了は何をもたらしたか。〈社会主義〉という壮大で過酷でもあった実験が失敗の烙印を押されて終わっただけではない。対抗社会主義であった福祉国家も終わった。ケインズ主義も終わった。そして、冷戦の文脈における日本の存在価値も終わった。冷戦における最前線基地であり、西側世界の一つのショウウィンドウでもあった日本は、それに関する限り〈無意味化〉した」(はじめに) 1990年以来、著者は『神戸新聞』に年に4回「清陰星雨」という連載を続けてきた。冷戦構造の解体から、阪神淡路大震災、オウム真理教、少年犯罪の数々、そして〈9・11〉。このような状況のなかで、この国の元気は次第になくなり、個人も家族も企業も社会も国家も、心の病を訴え、心のケアが主題となってきた。 精神科医・中井久夫はこの十余年をどのように見つめてきたか。連載エッセイのそれぞれに新たなサブテクストを書き下ろした47篇は、現代に生きる意味を立体的に伝える。

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2020/10/24

私にとっては読む精神安定剤である。 1990年から2001年にかけて神戸新聞に3ヶ月毎に連載されたコラム。字数が2200字までと、この手の新聞連載としては長い。贅沢なことだ 他のエッセイ集に収められている文章も多く、半分くらいは既読だったかもしれない。時系列で並んでいるので、...

私にとっては読む精神安定剤である。 1990年から2001年にかけて神戸新聞に3ヶ月毎に連載されたコラム。字数が2200字までと、この手の新聞連載としては長い。贅沢なことだ 他のエッセイ集に収められている文章も多く、半分くらいは既読だったかもしれない。時系列で並んでいるので、その頃の自分の生活を思い出しつつ読んだ 911のテロの描写など短いながら当時の情景、心の動きがまざまざと再現される

Posted byブクログ

2013/01/07

著名な精神科医である中井氏によるエッセイ。 信じられないほどの知性と教養に裏打ちされた文章が読む者の心を打ちます。 阪神淡路大震災当時、神戸大学医学部精神科の責任者だった氏による当時の記述は3.11の東日本大震災があった今、同時代性を持って迫ってくるものがある。

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