碇星 の商品レビュー
文体が古過ぎてちょっと引っかかる所がある。 文体にもやはり時代性が表れるものだと感じた。 そう、中学から大学の文学少年だった頃、むさぼり読んだ私小説の原風景を見たような感じです。 いずれの短編も老年の退職した男が主人公で、基本的には恵まれた老後が約束されている所に現代との乖離...
文体が古過ぎてちょっと引っかかる所がある。 文体にもやはり時代性が表れるものだと感じた。 そう、中学から大学の文学少年だった頃、むさぼり読んだ私小説の原風景を見たような感じです。 いずれの短編も老年の退職した男が主人公で、基本的には恵まれた老後が約束されている所に現代との乖離があり、しっくりこない。初版が1999年、つまり25年前の作品だと知りむべなるかなという感が絶えない。 つまり、失われた30年にまだ気づいてない時期、定年後は誰もが年金で生活していけた時代の話なのでリアリティがない。 現実は定年で退職した者の生き方は二通りしかないのではなく、生きていくことが闇の中に彷徨う事になる事も充分あり得るという事が前提としてないので、のんびりした読み物として共振する所がないという事になる
Posted by
短編集。 定年後の男の物語に心惹かれて読んだが、侘しさに泣けてくる。それでも実直に生きて行くという主人公達に愛おしさを感じる。
Posted by
子供を産んでおらず、仕事ばかりしているせいか、私は中年男性の考え方に似ているんだなぁと、この本を読んで気づいた。それにしても女性の逞しさよ。 吉村昭の短編を読むと、通勤電車が楽しくなる。乗客を見ながら、色々なことを考える(笑)
Posted by
この短編集、定年前後の男たちの静かな人生を描き出していて、まさに私の年齢にピタリとはまっている。 生と死を慈しみを込めて描いていて、身につまされますね。 この人の本は長編も短編も好きです。 以前、著者の「三陸海岸大津波」の感想でも書いたけど、この人に「3.11」の地震の本を書いて...
この短編集、定年前後の男たちの静かな人生を描き出していて、まさに私の年齢にピタリとはまっている。 生と死を慈しみを込めて描いていて、身につまされますね。 この人の本は長編も短編も好きです。 以前、著者の「三陸海岸大津波」の感想でも書いたけど、この人に「3.11」の地震の本を書いてほしかった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
定年間近のサラリーマンと40近くの事務員の火遊び 清算するために次の男に引き継ぎまた次の男に渡っていく信じられない関係 喫煙コーナーで知り合った孤独な中年が、互いの隙間を埋めていく話 2014.07.18 再読 碇星:カシオペア 社員の葬儀を取り仕切る仕事に就く男の話 様々な死に纏わり、故人の秘密に関わることはご免蒙りたいと思う
Posted by
やっぱり吉村昭の短編は面白い。 長編も面白いですが、吉村昭の短編は本当に面白い。 短編を読んで、不思議な感覚になったり、なんとなく後味が悪かったり、そういうのが短編の面白さかもしれませんが、 吉村昭の短編はスッと入ってスッと出て行く。 その感じがとても好きです。 この「碇...
やっぱり吉村昭の短編は面白い。 長編も面白いですが、吉村昭の短編は本当に面白い。 短編を読んで、不思議な感覚になったり、なんとなく後味が悪かったり、そういうのが短編の面白さかもしれませんが、 吉村昭の短編はスッと入ってスッと出て行く。 その感じがとても好きです。 この「碇星」は、定年退職後の男性についての物語が多く、私自身はまったく関係がないんですが父がそうなので、父のことを考えながら読みました。 「喫煙コーナー」。いつも喫煙コーナーで会う人たちと自然と話をするようになる。父もよく散歩に行った公園でいつも会う人と話すとか、お店のおばさんと話すとか言っていたので、父のことのように読みました。 父はこの短編に出てくる主人公達のように、自分の妻と娘から疎外されているような感覚も持っているんだろうなあ・・・とも。 父のことだけじゃなく、自分が年老いたときに、家族とか孫が欲しいなあとか、看取ってくれる人が欲しいなあ・・とか数十年後のことを考えましたw 色々な人生の感覚を教えてくれる。なかなかお気に入りの短編です。 しかし吉村昭の主な読者は中高年なんですね・・・ 20代前半女子の私はかなり少数派ということがわかりましたwでも好きです。
Posted by
定年になり社会生活を引退した初老男性たちの悲喜こもごもを、淡々とした筆致で描いた短編集。正直、彼らの心情を理解したり共鳴したりするには、読む時期が早すぎたかな・・。
Posted by
- 1