女は何を欲望するか? の商品レビュー
女性の立場が嫌で、女性的であること、女性的である人を否定し、強者である男性的立場での主張し悦にひたるという行為を無意識に行なっていたことに気づいた。
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アンチ・フェミニズムの本だそうだけれど、必ずしもそうとは言えないように思えた。 フェミニズムそのものも(あまり勉強した訳じゃないけど)ひとりに一説という感じにどんどん意味合いが複雑になっていって、その根拠とするところもとても曖昧になってきている。 ただ気になるのはやはり、...
アンチ・フェミニズムの本だそうだけれど、必ずしもそうとは言えないように思えた。 フェミニズムそのものも(あまり勉強した訳じゃないけど)ひとりに一説という感じにどんどん意味合いが複雑になっていって、その根拠とするところもとても曖昧になってきている。 ただ気になるのはやはり、地位や名誉といった社会的リソースの公共的分配について闘うのはあまり意味がない、と断じられてしまっているところだ。 もちろん、一定量の上について過分な期待と労力を払うのはある意味無駄なのかもしれない。しかし、最低線を見たときの性差が明らかにある以上(少なくともこの国では)、やはりそれについては闘っていかなくてはいけないと思う。もちろんこういった戦いの現場にいわゆるフェミニストがいるかということについては甚だ疑問があるし、フェミニスト理論の実践性がどれほどのものかということも疑わしいけれど。 性というものは社会を切り分けるひとつの手段に過ぎない、という。それは正しい。しかし生来の、変えようのない要因に関して実利的な差別を受ける場合、それはやはり看過できないものがある。
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前半は、言語論。後半は映画の分析を通じて、表象の多層的な意味を読み解いていく試み。 前半について。 フェミニズム文学研究の流れが整理されているように思えた。 誰しも、言語の枠組みの下に、認識の仕方なり、表現の仕方を規定されている。 そこで、イリガライの女性の語りを回復しようと...
前半は、言語論。後半は映画の分析を通じて、表象の多層的な意味を読み解いていく試み。 前半について。 フェミニズム文学研究の流れが整理されているように思えた。 誰しも、言語の枠組みの下に、認識の仕方なり、表現の仕方を規定されている。 そこで、イリガライの女性の語りを回復しようという試みや、フェッタリーの女性読者として抵抗する読みの試みが、バサバサと斬られていく。 つまり、自分が疎外されているというフェミニズムの主張は正しいが、女性主体だけが疎外されていると考えたところが間違いだ、というわけだ。 筆者はバルトのような、意味や読みは一つに定まらないという立場を基本的には肯定しようとしている・・・のか? これだけは、言及されていても、あまり批判的な検討がされていない気がするのだが。 後半はSFホラーシリーズの『エイリアン』の分析。 抽象的な議論の前半と比べて、かなり読みやすい。 ストーリーのレベルと、映像のレベルでは、違うメッセージを発しているなどという指摘が面白かった。 多分、前半の「複数性」を重視した読みというのを実践してみたのがこのパートなのだろう。 最後に、根性ワルのコメントを。 読みは多種混交的なもので、一つに決定できない限り、文学研究者や、評論家は絶対にメシのタネを失わないということだよね。 もっとも、それをお金を出して読みたいと思う読者がいれば、の話にはなるけれど。
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フェミニズムについて、歴史的な背景とともに思想の流れが分かった気がする。でもフェミニズム論の本、と言い切れず、どちらかといえば言語論よりの印象。 あとがきが一番面白かった。 「男らしい」「女らしい」を私たちは否定的に使うけれど、それは欲望の対象が違うという話。 p208より抜...
フェミニズムについて、歴史的な背景とともに思想の流れが分かった気がする。でもフェミニズム論の本、と言い切れず、どちらかといえば言語論よりの印象。 あとがきが一番面白かった。 「男らしい」「女らしい」を私たちは否定的に使うけれど、それは欲望の対象が違うという話。 p208より抜粋 「・・・・・・らしい」というのは、端的に言えば「欲望の対象が違う」ということである。 「男らしい」というのは、「男しか欲望しないものを欲望する」ということである。「女らしい」というのは、「女しか欲望しないものを欲望する」ということである。「子どもらしい」というのは「子どもしか欲望しないものを欲望する」ということである。たいせつなのは、「他の社会集団と欲望の対象を差異化する」ことである。男は出世を求め、女は美貌を求め、子どもはマンガとおやつを求め、老人が庭に梅の木に鶯が訪れるのを待望する・・・・・・というふうに成員の欲望がうまくばらけているときに集団ははじめて非暴力的な仕方で成立する。 できるだけ他人が欲望するものとは違うものを欲望するように、状況に合わせて生き方をシフトすること。それが「人間的である」ということの一つの基本である。 なるほど、それで『女は何を欲望するか?』がタイトルなのか。 本書によれば、フェミニズムが言うところの男女平等は「男しか欲望しないものを欲望する」女性を目指すことなのだと理解した。 つまり「女は何を欲望するか?」という問いに対して、「男が欲したものを欲望する」というのだ。それは違うんでない?というのが本書の主旨だと思う。 全面的に賛成。でも、だから女性はいろいろ我慢してね、と言われるとそれはそれで腹立つ・・・(内田さんは言ってないけれど)。
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