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龍樹 の商品レビュー

4.2

21件のお客様レビュー

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2012/06/05

龍樹(ナーガールジュナ)が唱えたいわゆる「空論」についての解説書。 龍樹以降の註解書を参照しながら、「空」とは何か、また、何でないかを、ていねいに説明している。龍樹が著した「中論」や、その他の著作も収める。 とりわけ、あらゆるものごとが実在すると説く「説一切有部(せついっさいう...

龍樹(ナーガールジュナ)が唱えたいわゆる「空論」についての解説書。 龍樹以降の註解書を参照しながら、「空」とは何か、また、何でないかを、ていねいに説明している。龍樹が著した「中論」や、その他の著作も収める。 とりわけ、あらゆるものごとが実在すると説く「説一切有部(せついっさいうぶ)」への批判は見物。 一切は「相互依存の関係」(縁起)にあり、「有」でも「無」でもなく、「中道」であり、しかもそう説きながら、そういった定義に執着してはならず、本来は言語化できない「空」の考え方を、否定辞を重ねながら示していく。 スリリングで、興味深い一書。

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2012/02/16

仏教学の泰斗・中村元博士による、「中論」および「空」に関する明晰な解説書。 とにかく明瞭明晰です。難解をもって知られる「中論」が驚くほどの切れ味をもって解体されていきます。「中論」の論理展開は説一切有部への反論を目的の一つとしていることが理解できれば、あとは流れるように読み進める...

仏教学の泰斗・中村元博士による、「中論」および「空」に関する明晰な解説書。 とにかく明瞭明晰です。難解をもって知られる「中論」が驚くほどの切れ味をもって解体されていきます。「中論」の論理展開は説一切有部への反論を目的の一つとしていることが理解できれば、あとは流れるように読み進めることが出来るかと。 俗に流れず、あくまで原典にあたりながら「中論」を解説していく業前は卓抜した仏教学者ならではでしょう。 唯名論との類似性、および差異も興味深いですね。 頭の中がすっきりと整理される感覚を味わいました。お勧めです。

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2012/01/21

難解に見えて、実はシンプル? 空(=非有非無=中道=縁起) ⇔ 不空(=実有) ソシュール、ラカンをベースに読むと縁起説はわかりやすかった。

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2011/04/09

理解できない箇所も多く、再読中。ここで語られる縁起と我々の通常考える縁起には大きな隔たりがあります。 何故、中論が大乗の祖とされるのか少し理解できた気がします。

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2011/07/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

佐々井秀嶺、アルベードカル、ダライラマ、ガンディ、ヴァレラ、ロッシュ、オットー、センゲ、ボーム・・・仏教界はもちろん、世界の人たちに影響を与え続ける竜樹(アーリア・ナーガルジュナ)。壮絶な最後をとげた革命家だったとも伝えられる竜樹。いったいどんな人なんだろう? 竜樹から学びたい。

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2010/09/10

有に対立するのが空なのではなく、無である。 中観は、主に説一切有部の法有を批判であり、有と無のどちらも否定し、それらは相依関係にあり(縁起に依り成立し)、そのため無自性であり、即ち空であるとする。そのため空は中道であるといわれる。 中国の天台宗で説かれた仮諦・空諦・中諦という三諦...

有に対立するのが空なのではなく、無である。 中観は、主に説一切有部の法有を批判であり、有と無のどちらも否定し、それらは相依関係にあり(縁起に依り成立し)、そのため無自性であり、即ち空であるとする。そのため空は中道であるといわれる。 中国の天台宗で説かれた仮諦・空諦・中諦という三諦の思想は中観には存在しない。 ナーガルジュナはさらに空も否定した。 空の中には何ものも存在しない。しかもあらゆるものがその中から出て来るのである。それは鏡のようなものである。 実質についていえば、「空」の真の特質は、「何もないこと」であると同時に、存在の充実である。それはあらゆる現象を成立せしめる基底である。

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2010/02/02

今まで読んだ中でもっとも難解な日本語書籍。 エッセンスを苫米地氏の書籍や動画から学習していたが、 それでもほんの一部しか理解できなかった。 空(くう)とは鏡や水晶のようなもの。空虚があれば空虚を映し出す。

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2009/10/04

釈迦の入滅700年後、仏教中興の祖・龍樹(ナーガールジュナ)は、 空(くう)の思想を「中論」により体系的に理論づけた。 本書は、仏教研究第一人者である中村元さんが「中論」を、 明快、かつ分かりやすく解説している。 龍樹は大乗仏教八宗の祖とも呼ばれるが、 空とは縁起より派生し...

釈迦の入滅700年後、仏教中興の祖・龍樹(ナーガールジュナ)は、 空(くう)の思想を「中論」により体系的に理論づけた。 本書は、仏教研究第一人者である中村元さんが「中論」を、 明快、かつ分かりやすく解説している。 龍樹は大乗仏教八宗の祖とも呼ばれるが、 空とは縁起より派生した概念であるため大乗や部派の宗派を超え、 仏教の根底で共有するべき教えだと、本書を通じ感じた。 縁起=空=無常=非我 釈迦の思想の深遠さを本書で味わうのも面白い。

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2009/10/04

難しいところもありますが、空等も解りやすく、中観の立場もわかりやすく書かれてあります。 必読書です。

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2009/10/04

竜樹は大乗仏教の始祖で八宗の祖とも呼ばれているらしい。竜樹は小乗仏教に対して大乗仏教の正当性を主張すべく「中論」を書いた。そして「空(=縁起)」を主張した。つまり、彼の「中論」の大部分は有部(=小乗)に対しての批判(破邪)の書であることになる。そう考えると納得がいく箇所も多いが、...

竜樹は大乗仏教の始祖で八宗の祖とも呼ばれているらしい。竜樹は小乗仏教に対して大乗仏教の正当性を主張すべく「中論」を書いた。そして「空(=縁起)」を主張した。つまり、彼の「中論」の大部分は有部(=小乗)に対しての批判(破邪)の書であることになる。そう考えると納得がいく箇所も多いが、そうなると「中論」自身、仏教の「真実」を述べていないのもわかってしまう。有部の論点を批判しているだけで、なんら仏教における「真実」を説明していないからだ。これは縁起論者が特定の意見を持たないことにも影響しているのかもしれない。 ただ、空の箇所は心に残った。「空(=縁起)」というのは、一般に言われてるように「無」ではない。それではニヒリズムになってしまうし、「色即是空」は全てを否定することに、つまりは仏も否定することにつながってしまう。そうではなくて、空とは無自性性を意味するもので、相互依存によってのみ全て(もの、意識)は存在しているという意味に取らなければならない。その相互依存性、差異を竜樹は全てのものへ広げる。つまり、空でさえも空である(空というものですら絶対的なものではなく、不空との相互依存性にのみ成り立っている)と考える。そして、その結果、空というものを説明することはできない。そして、彼ら(縁起論者)は、特定の意見を持たないというのも、上の空の考え方からわかる。

Posted byブクログ