小説ペイオフ の商品レビュー
この人の信者の東大・…
この人の信者の東大・京大生は多いです。論理的で説得力のある経済評論は圧巻。
文庫OFF
バブルが崩壊し、その後日本は、失われた十年とか 失われた二十年とか、言われている。 なぜ、そのようになったのか?ということで、 一つの側面として、日本の金融政策の問題が浮かび上がる。 銀行における不良債権の処理が、大蔵省主導に、 曖昧にされ、先送りにされていた、実態が、あからさ...
バブルが崩壊し、その後日本は、失われた十年とか 失われた二十年とか、言われている。 なぜ、そのようになったのか?ということで、 一つの側面として、日本の金融政策の問題が浮かび上がる。 銀行における不良債権の処理が、大蔵省主導に、 曖昧にされ、先送りにされていた、実態が、あからさまに、 暴露される。 そして、60兆円の公的資金の導入も、 銀行の経営責任を問うことなく曖昧なまま投入された。 そこには、大蔵省のメンツという問題が、深く関わっていた。 1997年は、金融においての激動の年だった。 この小説は、そのことを裏面から、暴きたてる。 なぜ、北海道拓殖銀行と山一証券が、 破綻せざるを得なかったのか? そこには、大蔵省の思惑があった。 公的資金を導入するための仕掛けというより、 スケープゴートだった。 それで、30兆円の公的資金が投入されることになったが、 銀行の不良債権は、解決されず、引き続き、隠された。 債務超過の銀行の延命を計っただけだ。 結果として、日本の銀行の評価が、落ちて行くこととなる。 大蔵省のメンツを守ろうとするが。 相対的に、大蔵省の権威も低下したのだった。 舞台は、日銀に変わっていく。 焦点は、国債の評価低下を、日銀が直接受け入れるということ。 よくわからない事態が生まれる。 アメリカの金融当局者の意見が、 実に明快に、その病巣をついてくる。 証券会社の破綻、銀行の破綻、さらに 低金利政策で、 生命保険会社の破綻にひろがり、生命保険会社にも、 公的資金が投入されて行く。日本は、赤字国家に邁進する。 そして、日銀は、どのような方向性をもって、 その問題を解決するのか? それも見えないまま、政府が赤字国債を発行したものを 日銀が、実質的に買い続ける。 そのことによって、日本の貨幣の価値が、堕落するのだが、 同じように、アメリカも、中国も、貨幣を印刷しまくることで、 貨幣が墜落した。 つまり、貨幣は、相対的な均衡を保つことになる。 最後の仮説は、大きく外れるが、銀行の不良債権が、 一気に解決するという夢物語が、無理があり、惜しい作品だが、 日本銀行券の紆余曲折が、克明であり、いい作品だ。 そして、自分の作った銀行が、ペイオフされるという まさに、現実は、小説より面白い。
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本書は2000年5月に発行された『通貨が堕落するとき』を改題したものである。著者木村剛は2010年に日本振興銀行事件の容疑者として起訴されている。テレビなどで報道されていたので顔は見知っていた。 政治家の無策、官僚の日和見主義を痛烈に批判している。日本には志がある国士は現れ...
本書は2000年5月に発行された『通貨が堕落するとき』を改題したものである。著者木村剛は2010年に日本振興銀行事件の容疑者として起訴されている。テレビなどで報道されていたので顔は見知っていた。 政治家の無策、官僚の日和見主義を痛烈に批判している。日本には志がある国士は現れないのか、そんな思いを抱きながら読みすすめる。ラストに近づくにつれ老獪な政治家が官僚を手玉にとり改革を成し遂げる様が描かれている。将来の明るい未来を信じさせてくれる終わり方には素直に拍手を贈りたい。とここまでは小説の話なのである。如何せん、容疑者木村剛は本書に描かれる国士とは成りえなかったのだとがっかりを通り越し、白けるわたしであった。
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専門的な用語も多々登場するが、経済の基本的なことをかじっていれば、大丈夫。思ったよりストーリーも登場人物の考え方もしっかり書かれており、非常に楽しめた。とはいえ、舞台は1997~2003年なので現在とは大きく異なった経済状況。それを差し引きして読む必要がありますね。
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800兆円以上の借金を抱える日本。それを解決するには?驚くべきシナリオが用意されています。現状の物価上昇は原油価格の上昇が主な原因ですが、インフレ傾向にあることは否めず、この物語に脅威を感じさせます。
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