マラケシュ心中 の商品レビュー
中山可穂さんのよく切れるナイフのような文章に、ものすごい引力を感じて一気に読み切りました。 絢彦のめちゃくちゃな選択も、支離滅裂な言動も、激しい熱情をもって恋する人間に没入して読み進めると、選択肢は初めからそれしかなかったような、まるでそうすることが運命だったような、謎の正義を...
中山可穂さんのよく切れるナイフのような文章に、ものすごい引力を感じて一気に読み切りました。 絢彦のめちゃくちゃな選択も、支離滅裂な言動も、激しい熱情をもって恋する人間に没入して読み進めると、選択肢は初めからそれしかなかったような、まるでそうすることが運命だったような、謎の正義をもった選択・言動に思えます。 絢彦と泉にフォーカスすれば、2人が出会ってどんな風に関係を結んでいくのか、その過程と結末を追えるこの小説は、とても幸福な旅だったと感じました。 (ただ正直マオちゃんと薫風先生に気を取られてしまっている自分もいます。そういう意味では入り込めきれなかったのかも。)
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引力が強すぎてページを捲る手が止まらなかった。つらい。絢彦にも泉にもマオにも感情移入してしまう、共感してしまう台詞がそれぞれにかなりあって、つらかった(褒めてる) ノンケじゃない人に是非読んでほしい。
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図書館。 途中までの奔放な感じと性描写はいただけなかったけれど、なんというか、壮絶。 マオちゃんがとにかく心配。
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絢彦の図々しさが気になる。おどろおどろしいほどの強い情念をどの行間からも感じて読むのに疲れた。 心中するのかしないのかって気にして読んでた者としては、途中からまさかな、とは思いつつもちょっとショックでした。まあ、この手のショックを味わいたくて読んでるんですが。
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久々の恋愛もの。 読みやすく、感情が胸にくる。 でも、同じ比喩が多用されていて、興ざめ。 軽く読むにはいいかな。
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発売当初から装丁とタイトルで気になってた本。登場人物の感情の昂り具合についていけるかで感想はかなり違うんだろうな。なんにしろハッピーエンドにしたのは正解です。
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久々の中山可穂さんでした。図書館で借りました。 「弱法師」「ケッヘル」に続いて3冊目。 装丁の砂漠とタイトルが何とも言えません。 「それは見果てぬ夢だった。 わたしは崖からジャンプしてそれをつかみ取ったのだ。 あとは墜落して激突死するだけだとしてもかまわなかった...
久々の中山可穂さんでした。図書館で借りました。 「弱法師」「ケッヘル」に続いて3冊目。 装丁の砂漠とタイトルが何とも言えません。 「それは見果てぬ夢だった。 わたしは崖からジャンプしてそれをつかみ取ったのだ。 あとは墜落して激突死するだけだとしてもかまわなかった。」 作中のこの方の文章、 表現と平仮名がとても有効に使われていると思います。 恩師の妻・泉に恋をしてしまう歌人・絢彦。 レズビアンのお話です。 身を焦がすような、 ひりひりするような、 あてもない絶望感と、 愛しい人の手を引いて、 壊して壊して、削られていくような、 全てを奪い去る行為。 なんて苦しいんでしょ。 寝る前に読んだら続きが気になって、悶々としてしまいました。 きっと好き嫌いに分かれますし、 この方の作風は3作、だいたい同じ雰囲気が漂ってます。 それでも、私は好きだなあ。。 「生殺しよりは、即死を。」 心中って。 愛した果てに、死を求めるって究極でしょうか。 また異国の地っていう舞台も素敵です。 小説ってゆーよりは、やっぱり劇を見ているような。 濃い感じがなんとも言えません。 文章が綺麗で読みやすいので、だーっと読めます。 ただ、物語の進行上 仕方ないのかもしれませんが 最後の救いよりも 個人的に 広瀬マオの救いを求めてました。苦笑 「歌は風に散り、あとには何も残らない。 花は雨に打たれ、泥に溶けてゆく。 そして愛は、この身とともに朽ち果てる。」 ドラマのようで、 かなり堪能できました!!
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レズビアンの歌人が主人公。日本、ヨーロッパ、モロッコを舞台とした激しい恋愛ストーリー。好き嫌いが分かれるところでしょうが、私は楽しめました。少女漫画的というか宝塚的というか、激しいストーリー展開があり飽きずに読めます。スペイン、モロッコなども舞台となるので、じっくり旅行気分を味わ...
レズビアンの歌人が主人公。日本、ヨーロッパ、モロッコを舞台とした激しい恋愛ストーリー。好き嫌いが分かれるところでしょうが、私は楽しめました。少女漫画的というか宝塚的というか、激しいストーリー展開があり飽きずに読めます。スペイン、モロッコなども舞台となるので、じっくり旅行気分を味わうのも良いかと思います。ちなみにマラケシュはモロッコの都市です。
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♀×♀をテーマにした時、中山可穂を超える著者はいないと思う。 可穂さんの本の中で1番気に入ったのがこの1冊。 切ないというのとはまた違って、 女どうしのヤケドしそうな感じの激しい恋愛描写がすごい。
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人気歌人の緒川絢彦は自らの恋愛感情を糧に作品を詠む。 ある日歌会にやってきた小川泉にひと目で惹かれてしまうが 彼女は恩師である小川薫風先生の後妻だった。 周りからも釘を刺され絢彦自身も自制しようとするも 彼女のことを狂おしく思う気持ちを止められない。 思いを告白しつつ友人関係を続...
人気歌人の緒川絢彦は自らの恋愛感情を糧に作品を詠む。 ある日歌会にやってきた小川泉にひと目で惹かれてしまうが 彼女は恩師である小川薫風先生の後妻だった。 周りからも釘を刺され絢彦自身も自制しようとするも 彼女のことを狂おしく思う気持ちを止められない。 思いを告白しつつ友人関係を続けたかったが やはり友情では満足できずいっそのこと二度と会わないことを宣言し 雑誌の企画のためにイタリアへと飛びたった。 しかし旅行先で元人気歌手とのスキャンダルをでっちあげられ かっとなった絢彦は帰国後出版社へ殴りこみに向かい そのままスペインへと逃亡を企てる。 日本での生活を捨てたことをすがすがしく、 また薄ら寒く感じながら乗り継ぎのためモスクワ空港にいると なんと泉が追いかけてきた。 ひと目見るだけだと言っていた泉だったが 絢彦は強引にスペインへと連れて行ってしまう。 装丁:大久保伸子 やっぱり中山さんの作品は感情の重さが違う。 道ならぬ恋の逃避行と聞くとよくある話のようですが レズビアンが不倫でモロッコまで行くのはそうそうないのでは。 泉がなかなか薫風先生を思い切れないのがじれったくてしょうがないです。 ひどいこともされているし愛はないように思うのですが 老い先短いからという情や世間体なのかな。 でも世間体を気にしていたら絢彦を追いかけて モスクワまで飛んできたりはしないだろう。そこが煮え切らない。 それに対して絢彦の思いは本当にまっすぐで振れ幅も大きくて 読んでいる方も振り回されそうになるくらい。 薫風先生や柏木といった泉の周辺の男性の描写が もう少し欲しかったかなあ。 そうすれば絢彦が戦わなければならない男という性が もっと浮き彫りになったと思う。
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