存在の季節 の商品レビュー
ナントカ主義とか構造ナントカとかポストナントカとか、形而下とか形而上とか、そういった言葉を遣いたければ(ただ弄するのではなく)、例えばこの本のようなものをひたすら読み込んで、そこに拓かれる地平を感じることができねば……、実は、そう思っています。これは学術書、ということになるのでし...
ナントカ主義とか構造ナントカとかポストナントカとか、形而下とか形而上とか、そういった言葉を遣いたければ(ただ弄するのではなく)、例えばこの本のようなものをひたすら読み込んで、そこに拓かれる地平を感じることができねば……、実は、そう思っています。これは学術書、ということになるのでしょうが、各々の宗教の如何、専門の如何を問わず、あらゆる「智を愛する(求める)人」のための、1冊の書物です。「語りえぬもの・ことを語るとは, それが逆説的で無意味に思えても真理に関わる言葉の創造的冒険である. 真理は言葉に隠れ顕れるからである. アウシュヴィッツや技術神話に象徴される現代世界の極限的な閉塞状況は, 伝統的な有神論的形而上学に根差した自閉的で実体的な自己同一性とロゴス中心主義によってもたらされた. それらは個人をはじめ利益集団や国家権力, さらにはそれを支えるイデオロギーに至る広範な現実を生み出した. そこでは他者との邂逅が排除され, 他者の同化と忘却によって人間の唯一回性や個別性の基底をなす存在への視点が失われてしまった. 従来の西欧的存在論では十分に解明できない人間の邂逅について, 著者はヘブライの思想と文学を背景にした他者との邂逅の可能性を探求, ヘブライ的存在であるハーヤーを基盤にしたロゴスとしてのハヤトロギアの誕生に向け思索と生の営みを遂行する. ギリシア悲劇から聖書, さらには中世哲学, 近現代思想から東洋的思惟に至る膨大な知見を踏まえた, 著者快心の作品.」…、長くなりましたが、カヴァーから引用しました。知的興奮、さらには知的陶酔・法悦、といったものは、例えば正しくもこのようなところにあるのか、と。
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