新インド学 の商品レビュー
「アーリヤ人」問題のうらには、インド学がはらむ重大な欠陥がある。それはインド学の対象とするおもな文献はサンスクリット語文献であり、そのサンスクリット語文献が描く世界をもってインド文化とみなす点である。西洋中心主義的な「アーリヤ人」理解が重大な誤謬をはらんでいたように、サンスクリッ...
「アーリヤ人」問題のうらには、インド学がはらむ重大な欠陥がある。それはインド学の対象とするおもな文献はサンスクリット語文献であり、そのサンスクリット語文献が描く世界をもってインド文化とみなす点である。西洋中心主義的な「アーリヤ人」理解が重大な誤謬をはらんでいたように、サンスクリット語中心主義的な「インド」理解にも重大な欠陥がある。・・サンスクリット語で発見できる「インド」もあれば、ムンダ語で発見できる「インド」もある。・・多元的な世界の一翼をになうという意味においてサンスクリット語にもムンダ語にも同等な地位を与えてこそ、あたらしい「インド学」に生まれ変わることができるのではないか。(pp. 182-183) 劣悪な環境で「ありのままの」インドを、現地の「コンテキスト」にもとづいて帰納的に提示するインド像は貴重である。(p. 193) 肝に銘じておきたい。
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