考える一族 の商品レビュー
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内橋さんが亡くなった。「匠の時代」を若いときに何冊か読んだ。ラジオでは、温厚かつわかりやすい口調の、社会問題の解説を何度も聞いた。 著作のうち、まだ読んでいないものを2冊買った。この「考える一族」は、そのうちの1冊である。 カシオ四兄弟のことは、あまり知らなかった。読んでみて、次男の俊雄氏のすごさや、この一族の誠意のある生き方がよくわかった。 あとがきに書かれている、ゼロから1を生み出すことの大事さ、それにかけたパイオニア的技術者への正当な評価の必要性、という著者のメッセージを読むと、勇気が出る。
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2002年(底本1985年)刊。著者は経済評論家。 バブル期刊行が本書の叙述スタンスを規定したか。本書は日本のエジソンとも擬すべき樫尾俊雄を含む樫尾四兄弟の評伝(カシオ計算機創業)。 全く凄いのは、算盤が米国製計算機の間での計算競争に勝ったのに、「計算機は計算スピードで算盤の名人には劣るかも知れないが、素人を易々と『計算』の名人にする」発想転換と「算盤は神経。計算は技術」と計算機の発展性を看破した件だ。 一方、俊雄の発想を支えた兄忠雄の旋盤技能、三男和男の営業力、四男幸雄の大量生産への応用力も欠かせない。 さらに、カシオ躍進を支えた現場担当の高い学習姿勢とこれを支え援助した上層部の温情とが歯車をかみ合わせた点も見過ごせない。 現代では想起しづらいこのような関係性は溜息が出るばかりだ。
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「世界に先駆けて...」っていう夢から始まった。大事なことは既存知識だけではどんなに組み合わせてみても、絶対に飛行機は生まれなかったように、知識欲があると却って創造力をなくすという考え方の徹底。 IC、LSIを魔法の杖として使ってきたエレクトロニクスは進歩する。次にエレクトロニ...
「世界に先駆けて...」っていう夢から始まった。大事なことは既存知識だけではどんなに組み合わせてみても、絶対に飛行機は生まれなかったように、知識欲があると却って創造力をなくすという考え方の徹底。 IC、LSIを魔法の杖として使ってきたエレクトロニクスは進歩する。次にエレクトロニクスはいいものだ、この二つをひたすら信じた。 第一に現代技術・製品開発戦略の常識に反して、市場調査など行って消費者のニーズをとるといった手法は一切取らない。第二に新製品、新技術を送り出すときにはより良いものをより安くの精神。第三に以上の戦略を展開するに際しては、必ずハイスピード・マネジメントを持って当たること。 この考え方で「カシオ」を作ったんだってことにびっくりした。多くの会社が消費者動向を気にしマーケティングに血道を上げている中、こんな職人気質的な思想、哲学が存在しているだけでなく、大きく成功している。 マーケティングを勉強している最中で、正直どっちの考えが正しいのか心が動く。多分どちらもある条件のもとでは正しいのだろう。大切なのはどんな夢、考えも哲学までに昇華させ、物事に当たっていくことなのだろう。
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計算機で有名なCASIOは樫尾四兄弟によって設立された。 小型電卓は世界に誇る日本の商品だと思う。 東京電機大学の教育理念も立派だ。
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