赤頭巾ちゃん気をつけて 改版 の商品レビュー
実績や地位なく、若さと知識しか誇れるものがない学生の悩み。生きずまった時に読み直したい本。大学生の今、読めて良かった。文体としては読み辛さもある。救済的装置としての少女の登場もセオリーだが素晴らしい。本書は四部作の第一作だそうで、次作以降もいつか出会えればいいと思います。
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1969年に関係するので、ずっと読もう読もうと思っていて、学生のうちに読んでおくべきではあったんだけど、今日ようやく読み終わった。 冒頭、ホールデンみたいな語り口に、すごくわくわくする。10代の頃を思い出しながら読んだ。読み終わると、自分がサラリーマンになってしまった事実が押し...
1969年に関係するので、ずっと読もう読もうと思っていて、学生のうちに読んでおくべきではあったんだけど、今日ようやく読み終わった。 冒頭、ホールデンみたいな語り口に、すごくわくわくする。10代の頃を思い出しながら読んだ。読み終わると、自分がサラリーマンになってしまった事実が押し寄せて、少し哀しくなった。 薫くんには好感がもてた。女の子にくっついたり離れたりするたびに、「実存」や「孤独」がついたり消えたりするのはイヤだって思っていたりするところ。一生懸命、生きるっていうのと向き合いたいみたいな姿勢、好青年じゃん。少なくとも春樹の小説に出てくる男の子よりは、断然、薫くんのほうが好きだな、私は。
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高校時代、大学への進学を止めようと思った。 今振り返れば一時の気の迷いに過ぎないが、当時は相当真剣だった。 あれから、10年が過ぎた。 結局ぼくは大学に行き、無難に修士号を取って、今は資本主義社会の中で日々あくせくしている。 "知性というものは、すごく自由でしなやか...
高校時代、大学への進学を止めようと思った。 今振り返れば一時の気の迷いに過ぎないが、当時は相当真剣だった。 あれから、10年が過ぎた。 結局ぼくは大学に行き、無難に修士号を取って、今は資本主義社会の中で日々あくせくしている。 "知性というものは、すごく自由でしなやかで、どこまでもどこまでものびやかに豊かに広がっていく" 薫君は、大学に行かず自力で知性を育てる道を選んだ。 ぼくは、社会の歯車になってでも、知性と、知性に裏付けられた感性を育てていければと思っている。 薫君とある意味真逆なこの実験を、最後まで自分の眼で見守っていきたい。
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あの時代の空気は、その後の日本人を作る基礎になっているんだ、と思わせられた。文章はサリンジャーを強く感じたし、当時の社会での受け入れられ方は似ていたように思うけど、日米の人々のマインドセットは、全く異なっているのが、興味深い。でも21世紀に青春を送る新しい日本人は、庄司薫と違う感...
あの時代の空気は、その後の日本人を作る基礎になっているんだ、と思わせられた。文章はサリンジャーを強く感じたし、当時の社会での受け入れられ方は似ていたように思うけど、日米の人々のマインドセットは、全く異なっているのが、興味深い。でも21世紀に青春を送る新しい日本人は、庄司薫と違う感覚になっているのかもしれないね。子供が高校生になったら、読んで感想を聞こう。
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村上春樹と似てるところがあると感じた。 この本が出版された当初はこの文体は異質とされていたらしいけれど今となってはなんてことないという印象を受けるというのを考えると村上春樹然り影響を受けているひとは多いんだろうなという感想。
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僕にとって多少難しい表現があったが、そういうのはおいておいてどんどん読む事で、大枠が見えてきた。最後にはっとさせられた。いい本だった。
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第61回芥川賞受賞作。 1960年代末の高校生、大学生(広義に若者)の心情を描いている。 現在とはだいぶ違うように感じられ、時代の変化を感じる。 ただ、共通する部分も大きくあるだろう。 小林の独白が胸をうつ。
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久々の芥川賞文学。 何か一生懸命やってきた自分がふいにバカバカしくなったり、のんべんたらりとやり過ごしているように周りの人たちが見えて、そんな世間の人たちを激しく憎悪してみたり。 でも、結局最後は周りの大切な人が見えてやさしく人を幸せにできるように生きていこうと決意するところなど...
久々の芥川賞文学。 何か一生懸命やってきた自分がふいにバカバカしくなったり、のんべんたらりとやり過ごしているように周りの人たちが見えて、そんな世間の人たちを激しく憎悪してみたり。 でも、結局最後は周りの大切な人が見えてやさしく人を幸せにできるように生きていこうと決意するところなど、読み終わって嬉しくなる小説だった。 ぼくは森のような男になろう。 ぼくは海のような男になろう。 素敵な言葉だし、こんな風に思って過ごせていけたらいいと思う。
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芥川賞シリーズ⑦ 学生の頃に読んだ記憶があったが、今読み返してみるとなんだか難しいというか、この文体は今では当たり前すぎてしまったなのでしょうが、途中端折ってしまった。東大入試がなかった年の高校生の日常と心の葛藤。今の時代にこんなに真面目に物事を考えてたらきっと、相手にされないだ...
芥川賞シリーズ⑦ 学生の頃に読んだ記憶があったが、今読み返してみるとなんだか難しいというか、この文体は今では当たり前すぎてしまったなのでしょうが、途中端折ってしまった。東大入試がなかった年の高校生の日常と心の葛藤。今の時代にこんなに真面目に物事を考えてたらきっと、相手にされないだろう。でも揺れ動く心はエリートであろうとなかろうと、歳月が経っても若者には共通なんでしょう。 この作品のバックミュージックには、よしだたくろう「どうしてこんなに悲しいんだろう 」が似合います。
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学生運動まっただ中を舞台にした青春小説は数あれど、ここまで引いた視線で世相を見つめる主人公は珍しいのでは。 思わず背中を叩きたくなるような歯がゆさ。事象観察はきわめて冷静沈着。しかし小さな非日常の積み重ねを経て物語は大きく動く。 とはいえ、何も事情を知らない人がもし端からこの日の...
学生運動まっただ中を舞台にした青春小説は数あれど、ここまで引いた視線で世相を見つめる主人公は珍しいのでは。 思わず背中を叩きたくなるような歯がゆさ。事象観察はきわめて冷静沈着。しかし小さな非日常の積み重ねを経て物語は大きく動く。 とはいえ、何も事情を知らない人がもし端からこの日の主人公を観察していても、彼は実に散文的な行動に終始していただろう。 何しろ読み手をうならせる激動は、単なる彼の内部からわき出る感情がほぼ全てなのだから。 しかし何やら分からぬうち、やはり小さな非日常をきっかけに彼は自己解決してしまい、穏やかな日常に戻る。女友達もどうやらそのあたりの事情はたちどころに承知したらしい。うむむ。 超人的な主人公に惚れ惚れしつつ、軽い嫉妬も否めない。そんな青春小説。
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