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綴り字のシーズン の商品レビュー

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2020/12/06

2017年3月にイスラエルのベン・グリオン大学で開催された学会のテーマのひとつに、マックス・テオンの宇宙哲学の教義がどこまでカバラ化していたかを検証するというものがあった。これは必然的に「ユダヤ教神秘主義における瞑想法をどう捉えるか」を問うことになり、さらに端的にいうならばそれは...

2017年3月にイスラエルのベン・グリオン大学で開催された学会のテーマのひとつに、マックス・テオンの宇宙哲学の教義がどこまでカバラ化していたかを検証するというものがあった。これは必然的に「ユダヤ教神秘主義における瞑想法をどう捉えるか」を問うことになり、さらに端的にいうならばそれはアブラハム・アブラフィアの再評価につながる。何故ならカバラ的伝統の中で瞑想法らしきものを確立したのはアブラハム・アブラフィアしかないからだ。そして20世紀末にアメリカで流行ったいわゆる「実践的カバラ」はすべてアブラハム・アブラフィアのメソドロジーを発展させたものに過ぎない。 本作の主人公ソール・ナウマンはまさにその「実践的カバラ」のど真ん中の世代に設定されている。かれが瞑想の進展に行き詰まったのも瞑想のプラクティスを実際に伝授する神秘家グルが誰もいなかったからである。近代アメリカにおける実践的カバラはそのように「自己啓発」的に始まったものであり、その意味でヒッピー・ムーヴメントの延長線上に位置するものに過ぎない。

Posted byブクログ