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現代建築・テロ以前/以後 の商品レビュー

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2009/10/04

ミノル・ヤマサキが気になる。20世紀を生きた日系アメリカ人の建築家であり、「プルーイット・アイゴー団地」や「ワールド・トレード・センター(WTC)」を代表作として持つことで知られているが、僕にはこの二作が歴史的にきわめて面白い素材のように思える、というのも、このふたつの建築はある...

ミノル・ヤマサキが気になる。20世紀を生きた日系アメリカ人の建築家であり、「プルーイット・アイゴー団地」や「ワールド・トレード・センター(WTC)」を代表作として持つことで知られているが、僕にはこの二作が歴史的にきわめて面白い素材のように思える、というのも、このふたつの建築はある意味では非常に似ている一方、まったく正反対の価値を担わされているからで、そしてそれはモダンーポスト・モダンという時代区分を考える一つのきっかけになるんじゃないか。今のところ、両方の象徴的な建築で、象徴する事件と関わっているという「史実」からの単なる思いつきの域を出ないのだけれど、でも、少なくとも今まで僕が読んできた範囲の建築の通史においてミノル・ヤマサキという人は紹介されこそすれ詳述されているのは見たことないのであって、ひとつの面白いネタではあるのでは、と友人と話していて、そういえば飯島洋一が少し触れていたよ、とのことでそれが収録されたこの本を読んだわけです。飯島洋一の言及は、自身の現代建築に対する意見つまり20世紀建築のモニュメント性に対する云々、に引きつけてなされたもので僕の興味の方向性とは少しちがうものだったが、どうやらWTC崩壊以前の建築史におけるミノル・ヤマサキの肩身の狭さは証明されたので、佳しとしよう。

Posted byブクログ