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彼女について私の知っている二、三の事柄 の商品レビュー

4.5

9件のお客様レビュー

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紅梅荘で暮らしていた…

紅梅荘で暮らしていた無敵の桃子と花子ももう30歳!相変わらず、映画の事喋ったり悪口言ったり呑気で楽しい日々。すてきすぎる「小春日和」の続編。

文庫OFF

小説の形式を取ってい…

小説の形式を取っているエッセイです。金井美恵子以外は絶対に書けないような過激な悪口が楽しめます。金井美恵子の長く端正な文章も健在。

文庫OFF

2013/11/16

『小春日和』の十年後、相も変わらず目白の紅梅荘に住む桃子と、花子と小説家のおばさんの日常を綴ったものだが、表題からも明らかなように彼らの会話と関心の端々にはゴダールなんかも鏤められ、あるいはフローベールでも『ボヴァリー夫人』ではなくて、ちょっとネエチャン騙しの『感情教育』だったり...

『小春日和』の十年後、相も変わらず目白の紅梅荘に住む桃子と、花子と小説家のおばさんの日常を綴ったものだが、表題からも明らかなように彼らの会話と関心の端々にはゴダールなんかも鏤められ、あるいはフローベールでも『ボヴァリー夫人』ではなくて、ちょっとネエチャン騙しの『感情教育』だったりと、彼らに言わせれば「プチブル教養主義」的な、いたって「閉じられた」小説世界が展開する。彼らの周辺を含めた世間話につきあっているようでもあるのだが、これが何とも面白くて、時々は釣り込まれて笑ってしまったりもするのだった。

Posted byブクログ

2013/07/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ちゃんと年代を調べずに、タイトルだけで、結構初期のものだろうと当て込んでしまったのですが、もうそのへんからして金井美恵子に怒られるだろうなあと思わざるを得ませんでした。 えー、いつもながら読みながらの感想を少し。 すごい金井美恵子ゴダールの『ヌーベルヴァーグ』見たのか…!私はあれはアランドロンが酷い役で出てるのと、大学のAV図書室みたいので見てて落ち着かなかったのとかで結局途中で挫折したままだ…。やるな金井美恵子。 なんなの、ゴダールに出て来た言葉を使って、庭と散文と結婚は全て人工的なもので、どれもに手入れは不可欠である、なんて、実際大した意見ではないかもしれないけれど、そういうふうに一見かけ離れたものたちをささっと繋ぎ合わせて、ぽんと提示してくれる感じ、美味しすぎてよだれでまくり。 自分の頭が弱いからこういう自然らしい頭の使い方をされるとコロっといっちゃうんだよな…。しかもそれを小説の中でメタッぽく使ってるのも美味しすぎる…。ぐぐぐぐぐ。 そういう、文学的にくだらないことを考えられるっていいよなああああああ。 いやしかし自分の小説が入試に使われたのを、そのまま引用して小説に組み込んじゃうのも、楽しかったなー。 あれだな、ゴダール好きとか言う人は結構多いけど、実際に言及したり意見を述べたり出来るだけの(度胸のある、あるいは不遜な)人は少なくてつまらない。本当は、難しそうなものでも、どんどん料理してくれたほうが楽しいんだ。馬鹿にされたって、批判されたって、傍観してるよりは面白い。 などとつぶやきながら読んでいたのですが、このような発想はさらに金井美恵子によって語られることになりました。 「「気狂いピエロ」に出てくるのがフリッツラングでしょ」」とと身に付いていない知識をなんとなくオシャレで開陳してくる子に対し、「いやそれは「軽蔑」だろ」と冷たい視線を向けるところとか、後にいろいろとうんちくを言ってくる「小林」という人物は、彼女たちと食事をしながら、「聖パウロ」がどのような文脈の中で働かざるもの食うべからずと言ったのか?と尋ねられ、何となく自分の知っていることを断片的に話しはじめて、「それで、なんでなの?」と突っ込まれて、いやーそこは知らないんですよね、という回答に「知らないことを語るべからず」と言われてしまう。 金井美恵子の膨大な知識は、開陳されるときには必ず(多分)必要にかられて、身に付いたものとして語られるのであって、それらはすでに知識というものを離れて、生活感のある知的体験になっているというか…(「あっ」)。 彼女と渡り合うのは、そうとうな力が必要であることは言うまでもなく、読んでいるからこそ蚊帳の外から少しハラハラしつつ「知らないことについては黙ってる」的なスタンスで知的冒険を楽しませてもらえるのだけど、こういう小説、(小説だよなあ、いちおう)本当に贅沢品。しかし、「金井美恵子」という言葉は、お金を出して本を買って適当に読めば、金井美恵子体験OKというような、ルイ・ヴィトンのようなファッションで使われてはいけないのである、雰囲気を出す小道具として使われてはいけないのだ、決して決して決して。 恥をさらし批判される勇気を持って初めて、金井美恵子について思うこと、を述べることが許される、毅然とした贅沢品なのである。(というか知識や芸術というものがそうであると思うのだけれど) それから、この文庫の解説がとってもよかった。にぶやたかし、という男、面白いし親切だ。 何度でも帰って来れる。

Posted byブクログ

2013/03/28

【読み途中】以前に開いたときには、文体になじめなくて、読み進められなかったのだけど、今回はなぜか、笑いながらたのしく読んでいる。本はこういうことがあるから面白いなぁ。 読み終わりたくないような、読み終わって、このシリーズや、著者の他の本にも早く移りたいような。

Posted byブクログ

2009/10/07

続編とはいえ同時進行的だと思わされる流麗さ、というよりも一貫性のある独特の文章術にあてられてしまいそうな毒気。

Posted byブクログ

2009/10/04

小春日和の続編。フェイク人生論的な、このたまらないいい加減な世界を表出してしまう著者のスタイルにはただ打ちのめされる。

Posted byブクログ

2009/10/04

金井さんの小説で、これが一番お気に入り。テンポよく、痛快。センテンスがきれいなのはいつもどおり。そして知識に脱帽。

Posted byブクログ

2011/07/19

新刊の「快適生活研究」を読んだら、目白4部作の懐かしい面々が!!これは、もう4部作も一気読みだぁ!と4冊プラスこの「彼女(たち)・・」も購入したわけです。覚えのために書いておけば、「彼女(たち)・・」は「小春日和」の10年後。そして「快適生活研究」は「彼女(たち)・・」の10年後...

新刊の「快適生活研究」を読んだら、目白4部作の懐かしい面々が!!これは、もう4部作も一気読みだぁ!と4冊プラスこの「彼女(たち)・・」も購入したわけです。覚えのために書いておけば、「彼女(たち)・・」は「小春日和」の10年後。そして「快適生活研究」は「彼女(たち)・・」の10年後。愛すべき、桃子、花子、作者を思わせるおばさんなどなど、相変わらず辛らつな女のおしゃべりを展開してくれていて、気持ちがいいやら、痛いやら。それにしても、今回、気づいて興味深かったのはこの「彼女(たち)・・」だけが単行本、文庫とも絶版になっていたこと。どうしても欲しかったので、アマゾンのユーズドで買ったのですが定価より高いユーズドなんて、私の主義に反するぞ!なんて。しかも、文庫のほうが高いってどういうわけ?でも、確かに文庫用あとがき、や、解説を思えば、高くたって文庫だよね、と思い、それはあとがきに関していえば、「久々に自作を読んで、『ここまで面白く書けるのは、まさしく作者の手腕であり』」との自画自賛に\(~o~)/(*^_^*)やっぱり文庫にしてよかった、と思いつつ、解説は、持って回った「……」だらけの読みにくさ。金井さんはこの解説で、いい、って言われたんだろうか、なんて、柄にもなく、私まで辛らつになってしまって。でも、この作品だけが絶版、ってわかる気がするんですよね。実は、私も出版されてすぐ読んでいるのですが、桃子の将来の生活の展望のなさに、他人事ながら心穏やかでいられず、さらに悪いことに我が身の老後のことまで(しかも、具体的に貯金の額まで脳裏に浮かんで心配になって!)暗雲たちこめる、といった調子にどよんとした気分になってしまったものだから、図書館から借りて、一回読んだきりで、買いもしていなかったというわけなのです。「快適生活研究」では、桃子は不本意とはいえ、地方の大学の非常勤講師の口にありつき、平凡な市井人の私は、あぁ、よかった、とほっとして、それもあって「彼女(たち)・・」を読み返せたのかもなんですよね。でも、「彼女(たち)・・」では、花子のお母さんのパテ屋さんでバイトをしている元大学の非常勤講師である山内さんに、いかにその職場がつまらないか、と言わせているところが用意周到というか、金井さんって食えない!というか。実は、たった今、読み終わったばかりなので、思考回路が、金井美恵子になっているみたいで、それもなんか、いつもと違う自分(案外、本質?)面白いので、このままアップしちゃいます。(*^_^*)

Posted byブクログ