でんでんむしのハガキ の商品レビュー
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まどみちおさんが老衰でなくなったのは数年前の2月28日。104歳でした。「老衰」という死因をこの頃では久しぶりにききました。おなくなりになったのは、寂しいのですが、ずうっと詩を作り続け、そのまま見事に寿命にまっとうされたのだなぁと思うと、なんていうか、空を見上げるときのような伸びやかな気持ちになります。 この本の中で一番好きなのは「トンチンカン夫婦」。 満91歳のボケじじいの私と 満84歳のボケばばあの女房とはこの頃 毎日競争でトンチンカンをやり合っている 私が片足に2枚かさねてはいたまま もう片足の靴下が見つからないと騒ぐと 彼女は米も入れてない炊飯器に スイッチ入れてごはんですようと私をよぶ おかげでさくばくたる老夫婦の暮らしに 笑いはたえずこれぞ天の恵みと 図にのって二人ははしゃぎ 明日はまたどんな珍しいトンチンカンを お恵みいただけるかと胸ふくらませている 厚かましくも天まで仰ぎ見て…… おおらかだーーー。 ぼけるのは嫌だし、こわくないはずないのに。不安なはずなのに。 まいったなぁと思うときは、まどさんみたいに笑って、天を仰ぎ見るのがいいかも。うつむいちゃうより多分いいから。
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