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十三妹 の商品レビュー

3.1

17件のお客様レビュー

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「女賊の哲学」より軽め

短編「女賊の哲学」を先に読んでいたので、かなり予想外でした。 イラストは賛否両論有りそう。まあ、これはこれで良いのか?。(ライトノベルと考えれば。) 個人的にはもっとドロドロしているのを期待していたのでちょっと・・・という感じでした。

いけだ

元ネタは中国の武侠小…

元ネタは中国の武侠小説。内容はイマイチですが、イラストはなかなか良いです。

文庫OFF

2024/07/29

この本が再度出版された2001年、店頭でパラパラと手に取ったことを覚えている。 その際に、田中芳樹の解説をよみ、3つの中国の歴史書を、時代の壁を大胆にも乗り越えて混ぜ合わせた作品を書けるのは山田風太郎くらいだと思っていた、という紹介文が印象に残っていた。 買おうかなと迷っていたが...

この本が再度出版された2001年、店頭でパラパラと手に取ったことを覚えている。 その際に、田中芳樹の解説をよみ、3つの中国の歴史書を、時代の壁を大胆にも乗り越えて混ぜ合わせた作品を書けるのは山田風太郎くらいだと思っていた、という紹介文が印象に残っていた。 買おうかなと迷っていたが取り紛れてそれ以来この本のことは忘れていたが、先日たまたま古本で見かけて、今度こそ、と財布を取り出した。 内容は他の方が書かれている通り、宋代のヒーローと清代のヒーローが共演する清代の物語だ。 主人公の十三妹=シイサンメイこと何玉鳳は安青年の第二夫人で、ミステリアス美女であり、過去に裏稼業ありのいわゆる忍者だ。 安青年は科挙挑戦中の美青年だが押しが弱く、いろいろお人好しで可愛げのあるダメなヤツ。もちろん妻の正体は知らないまま。 十三妹と並ぶ重要人物が白面堂こと錦毛鼠というねずみ小僧的義勇キャラ。 こちらも美青年らしい。さらには、彼は十三妹も安青年のことも好きという美味しい設定。 十三妹は主人公のわりには出番が少なく、安青年のほかの家族や安青年のぼろぼろ旅、白面堂と時の政治家と兄貴分、科挙のあれこれが面白おかしく綴られている。 最後には謎の老人も登場。 やや不穏なフックとともに突然物語は終了し、おそらくは続編の構想があったらしいが実現しなかったとの解説で読み終わる。 田中芳樹が注釈で書くように、オリジナルが新聞連載されていた60年代はまだ中国との間に国交が回復しておらず、日中間がもっとも疎遠だった時代に、中華モノのパスティーシュを読者に読ませるために先駆者の武田がいかに工夫や努力をしたか、が今ではひとつの読みどころである。 とはいえ、私も科挙のこまかいルールはあまり知らなかったので、クライマックスの科挙シーンを興味深く読んだ。 科挙=寝具持ち込みで小さな小屋に一人ずつ泊まりで行う試験、だというのは、皇なつきの「貢院の鬼」という短編マンガにあったくらいかな。 シイサンメイのイラストが可愛い&安青年の憎めなさが可愛いのでこの夫婦と白面堂との関係が良かった、というシンプルな感想を述べておく。 田中芳樹が解説のラストで、今回の挿絵を鶴田謙二に頼めてよかった、(オリジナルは芹沢銈介だったらしい。なにそれ、そっちも見たいー!)、いずれ拙作にもイラストをお願いしたい、と書いていたが、この数年後に児童書「ラインの虜囚」で田中の願いは叶うし、そこの解説で、鶴田謙二を指して、「子どもたちよ、大人には一緒に仕事をするという喜びがあるんだよ」と書いていたことを思い出してニッコリした。 この本で知ったことメモ 大虫とは中国では虎の異名 鼠を名前に入れるのが清代に流行った。かつては竜とか虎とかもっと強そうなやつが流行ったのに。 思い出したことメモ 船で登場した美人局をやらされている若い女というか少女の描き方にかなり不快感を覚えた。中国モノ+60年代という執筆の時代柄仕方ないけど女性差別が強い。

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2023/09/13

こういう場面転換や状況説明って面白いなあ、と思った箇所が幾つかあったのが印象的だった。 例えれば、いつぞやの歴史ドラマで話題になったナレ死や40秒関ヶ原のような。 わりと重大なことが起きたにも関わらず、それに紙数を割かずにサラッと流す。 熱血活劇っぽい内容になりそうなところ、さく...

こういう場面転換や状況説明って面白いなあ、と思った箇所が幾つかあったのが印象的だった。 例えれば、いつぞやの歴史ドラマで話題になったナレ死や40秒関ヶ原のような。 わりと重大なことが起きたにも関わらず、それに紙数を割かずにサラッと流す。 熱血活劇っぽい内容になりそうなところ、さくさく読めるのはこうした描き方故かも。 で、さくさく読めるし展開も面白いのだけど、武俠小説ってこんな感じだっけ?…とも思う。 いや、武俠な人が出てくるから武俠小説ではあるんだけど。 金庸の『書剣恩仇録』や『雪山飛狐』ほか短編を読んだことがあるけど、それに比べるとかなり大人しいストーリー。 血わき肉おどる、江湖の好漢と悪人が超人的技をつくして戦う!というものではない。 幾度か作中で使われる「忍者」。忍者小説といったほうが適しているのではと思う。 とはいえ、その金庸作品も50年代半ばから70年代はじめに書かれているので、時代的にはこの作品と重なる。 日中双方で、同じ時期に、どう武俠小説が描かれたのか、比べてみるのも面白いかも。 余談だが、田中芳樹氏による解説で、『児女英雄伝』のコミックが潮出版から出ていると書いてあるが、 これは『銀河鉄道999』で知られる松本零士による作品。 あくまで『児女英雄伝』を元にしたもので、原作コミカライズではない。 加えて、後年『銀河鉄道999』の続編シナリオに組み込まれ、十三妹は松本零士作品のキャラの刀を継承、銀河鉄道を守る女丈夫となっている。(もとよりそれを意図とした敵や舞台設定にもみえる) 999を含む、複数のものが共通世界にあるという松本零士作品の一部という内容なので注意のこと。 (松本零士作品として読む分にはまあまあ。同年の999のように問題が解決することも進展することもない、思わせ振りなシーンだけで終わる。十三妹、いいキャラになりそうなんだけど…。残念ながら99年に出た二巻を最後に未完)

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2022/11/22

泰淳の描きっぷりが楽しい中国歴史小説 『児女英雄伝』、『三侠五義』、『儒林外史』をミックスにまとめあげられているもので是非元ネタも読んでみたい 田中芳樹の解説が分かりやすくてその通りなんだけど、泰淳が十三妹の心の描写がわざと書いてないから安公子をどうして守り続けているのかとか安公...

泰淳の描きっぷりが楽しい中国歴史小説 『児女英雄伝』、『三侠五義』、『儒林外史』をミックスにまとめあげられているもので是非元ネタも読んでみたい 田中芳樹の解説が分かりやすくてその通りなんだけど、泰淳が十三妹の心の描写がわざと書いてないから安公子をどうして守り続けているのかとか安公子に対して何を思っているのか分かんないのも面白い 逆に錦毛鼠に対しての方が感情が揺れ動いていて読んでてドキドキしてしまうのも面白い 続篇が結局書かれないままだったのが悔しいけどこの終わり方はこれで良いとも思う

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2021/12/02

昔流の言い方ですれば「娯楽小説」 現代的言い方は「日本人によって書かれた中国三大古典のバスティーシュてきリライト作品」 だそう 中国の古典からとった「中国版女忍者の妻が、か弱き夫を助けるの巻」 1966年の新聞小説で、この文庫本も2001年に再録​ だからか今頃読んだ私が...

昔流の言い方ですれば「娯楽小説」 現代的言い方は「日本人によって書かれた中国三大古典のバスティーシュてきリライト作品」 だそう 中国の古典からとった「中国版女忍者の妻が、か弱き夫を助けるの巻」 1966年の新聞小説で、この文庫本も2001年に再録​ だからか今頃読んだ私が悪いのか、その後の日本の作品に似たのがあって わたしも少しく読んでいるので、既視感に襲われた 例えば これってTV時代ドラマ「妻はくのいち」を見たものにとっては焼き直し感 あの市川染五郎さんがはまり役でその印象を振り払うことが出来ない 浅田次郎さんの『蒼穹の昴』に描かれる科挙試験時のすさまじき戦いぶりがそっくり とはいえ 昔者のわたしはこっちが本家だと応援したくなる 武田泰淳さんは『森と湖のまつり』を若いころ読んで、 北海道、アイヌ民族を書き込んであって、印象深く好もしく思っていたのよ このような娯楽本も手掛けていらしたんだなあ

Posted byブクログ

2014/12/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

中国の女剣士が主人公。中国古典のキャラを使って日本人が書いたものらしい。主人公の十三妹が何を考えてるのかイマイチわからない・・・というのは夫である安公子と読者が共有するところか。そんな夫ですら理解しない十三妹の理解者なのか敵なのかよくわからない白玉堂がいい。女性憎悪を拗らせて若干ホモだけど。昭和41年作だそうでちょっと驚く表現があった。続きを書くつもりだったようだが作者はもうなくなっているのが残念。今だったらもっとウケただろうに。そして薄い本が出まくったろうなー。

Posted byブクログ

2022/06/10

中国の武侠小説を題材に取って、自由にリライトした作品です。 主人公は、「十三妹」(シーサンメイ)こと何玉鳳。彼女は中国全土に名前の知られた女忍者ですが、現在は科挙試験の合格をめざす安公子の第二夫人の座についています。そんな彼女たちの暮らす家に、「錦毛鼠」こと白玉堂という賊が忍び...

中国の武侠小説を題材に取って、自由にリライトした作品です。 主人公は、「十三妹」(シーサンメイ)こと何玉鳳。彼女は中国全土に名前の知られた女忍者ですが、現在は科挙試験の合格をめざす安公子の第二夫人の座についています。そんな彼女たちの暮らす家に、「錦毛鼠」こと白玉堂という賊が忍び入り、十三妹にメッセージをのこしていきます。十三妹と錦毛鼠とのあいだには、過去に因縁があった模様で、十三妹はすこし頼りない夫の安公子を影から見守りつつ、錦毛鼠とわたりあっていきます。 解説は、『銀河英雄伝説』シリーズの田中芳樹が執筆しており、本作が新聞連載されていた小学生時代、熱心に読みふけった思い出が語られています。現在のライトノベルにまで連なる戦うヒロインものの小説の系譜を、ここにたどることができるのではないかというような想像をしたくなります。

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2013/10/12

約50年前に、中国の3つの古典をミックスして書かれたラノベの先駆的な?作品。 十三妹という美少女女傑(人の首を刎ねるの楽勝)が、夫である安公子という頼りない坊ちゃんを陰ながら助け、ひいては国家の闇に暗躍するストーリー。 十三妹の能力ならば華々しいアクションが多々あってもいいはずが...

約50年前に、中国の3つの古典をミックスして書かれたラノベの先駆的な?作品。 十三妹という美少女女傑(人の首を刎ねるの楽勝)が、夫である安公子という頼りない坊ちゃんを陰ながら助け、ひいては国家の闇に暗躍するストーリー。 十三妹の能力ならば華々しいアクションが多々あってもいいはずが、それ程見せ場がないのは惜しい。一応話は完結してるっぽいが、闇の世界のライバル白玉堂と十三妹、安公子の三角関係や第1夫人と第2夫人(十三妹)との関係とか、もっと膨らませられる余地はありそうなのに、続きがないとか色々残念だが面白かった。

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2013/07/19

武芸百般に通じ頭脳明晰、しかも美貌の持ち主という文句の付けどころが無い女性、何玉鳳。 その実態は、過去に何個もの男の首を落としてきた伝説の忍者十三妹。 今では科挙合格を目指す美男の坊ちゃん安公子の第二夫人。 平凡な人妻の生活を満喫する…間もなく、方々で厄介ごとに巻き込まれる夫を毎...

武芸百般に通じ頭脳明晰、しかも美貌の持ち主という文句の付けどころが無い女性、何玉鳳。 その実態は、過去に何個もの男の首を落としてきた伝説の忍者十三妹。 今では科挙合格を目指す美男の坊ちゃん安公子の第二夫人。 平凡な人妻の生活を満喫する…間もなく、方々で厄介ごとに巻き込まれる夫を毎回影から甲斐甲斐しく助ける日々。 更には彼女と浅からぬ因縁を持つ好敵手・白玉堂も登場し、風雲まさに急を告ぐ!! アクション、のち時々昼メロ(未遂?)。 中国の古典小説に取材しつつも独自の世界が展開される、1966年に刊行された中国武侠小説の先駆的作品。

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