三国志(十二の巻) の商品レビュー
南征に向かう諸葛亮。 孟獲との戦を含めた一連のやり取りが興味深い。 蜀の話が大部分を占めている。 「出師の表」「泣いて馬謖を切る」 そして趙雲も亡くなる。
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劉備からの遺志を受け継いだ孔明は国力を復帰させ、南中制定、そして北伐へと動く。しかしまたしても卓抜した戦略の中、馬謖の軍令違反により大敗を招く。才を認め、まるで息子に対する感情を抱くように馬謖を育ててきた孔明。孔明はまたしても自身を悔やむ。自分の力を、それ以上に見てしまうところ、自分の欠点を自覚しないという馬謖の兼ねてからの性質を孔明は誰よりも知っていたにも関わらずこのような自体に陥ってしまう。窮地に立たされた時にこそ人間の本質が出る。人を動かす立場の人間はそれを見誤ってはいけないということを思い知らされた。唯一残っている武将趙雲の助言もあり、孔明は「泣いて馬謖を斬る」。孔明は運に味方されていないようにも思うが、趙雲の言う通り、少しだけ人を見る目が甘かったのかもしれない。どれだけ大局を見ていて、緻密な戦略、戦術を立てていても、1人の裏切り、1人の行動で結果が全く逆の方へ向いてしまうのだ。
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1年にわたり読み続けてきたこの三国志もいよいよ残すところ一巻となりました。 弱小の蜀を率い孤軍奮闘する諸葛孔明。卓抜な戦略・戦術を展開しながら、その弱小さゆえに、あと一歩のところでいつも齟齬をきたします。 この巻には有名な出師の表(孔明が北伐にあたり、蜀帝・劉禅に宛てた文章)...
1年にわたり読み続けてきたこの三国志もいよいよ残すところ一巻となりました。 弱小の蜀を率い孤軍奮闘する諸葛孔明。卓抜な戦略・戦術を展開しながら、その弱小さゆえに、あと一歩のところでいつも齟齬をきたします。 この巻には有名な出師の表(孔明が北伐にあたり、蜀帝・劉禅に宛てた文章)や”泣いて馬謖を切る”シーンが出てきます。しかし、北方さんらしいと言うか、これらのシーンよりやはり戦闘場面、特に南中征伐シーンのほうが迫力があります。
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再読。 英雄、英傑がみな消えて行き、小ぶりになった感が強い。 孔明が一人気炎を吐き乱世を持続させている。 爰京の行き着く先は楽園。 ここにもバッドエンドを迎えないものが一人。 ささ、次巻へ。
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p208 あれは、天険ではないか、と馬謖は思った。見あげるたびに、あの頂上に敵がいたらどうなる、という恐怖が襲ってくる。 この男は、鈍すぎる。馬謖は、そう思った。次第に、腹も立ってきた。 馬謖は、山を見あげた。まだ、間に合う。そう思った。思ったら、耐えきれないほどの欲求になっ...
p208 あれは、天険ではないか、と馬謖は思った。見あげるたびに、あの頂上に敵がいたらどうなる、という恐怖が襲ってくる。 この男は、鈍すぎる。馬謖は、そう思った。次第に、腹も立ってきた。 馬謖は、山を見あげた。まだ、間に合う。そう思った。思ったら、耐えきれないほどの欲求になってきた。 p230 「馬謖の死を背負ってだ」 杯の中の酒が、かすかに波立っている。手がふるえいるのだ。 p240 「蜀という国に、役立つ」
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最後の孔明と趙雲のやり取りがとても好き。 いい仲間だったんだなというのがよくわかる。 街亭の戦いはとにかく無念。 たった一度の失敗だけど、それが大きすぎた。この次があれば趙雲の言う通り、こんな失敗もせず、立派な武将になっていただろうに。
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劉備の亡き後、諸葛亮が蜀の氶相として軍のTopの趙雲と共に魏との交戦を行うも、大きな戦略で長安を取る中で馬謖の失敗で敗れる。呉は念願の合肥を取り3国の混迷を深める。最後、趙雲が病に倒れ亡くなって次巻に続く。
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劉備、関羽、張飛、曹操 が いなくなって スターが ないのが なんとも寂しい。 そんななかで 諸葛孔明が 奮戦する。 諸葛孔明が息子のように接し、育てた馬謖。 自分を 自分より大きくみてしまう。 軍人の本分は 命令を実行すること。 それは、組織として 当然のことであるが、 馬謖...
劉備、関羽、張飛、曹操 が いなくなって スターが ないのが なんとも寂しい。 そんななかで 諸葛孔明が 奮戦する。 諸葛孔明が息子のように接し、育てた馬謖。 自分を 自分より大きくみてしまう。 軍人の本分は 命令を実行すること。 それは、組織として 当然のことであるが、 馬謖は 大軍を前にして 孔明の言われたことを、 破って、自己流で 変更することで、 孔明の戦略を 突き崩すことに。 そして、孔明は 人を見る目がないと嘆くのである。 それにしても、孔明は 小さなことに くよくよして 意外とおもしろいのである。 大胆なひらめきと綿密な計算のうえに 小心者であるギャップが 人間的な魅力なんでしょうね。 この 孔明と馬謖の関係が 実におもしろい物語に仕上がり 孔明の孔明らしさが よく出ている。 曹操の息子 曹丕は、国を固めることができるが、 戦争は へたくそである。 司馬懿は 綿密な計画のもとに 出世をはかる。 魏の国を 支えるのが 司馬懿となる。 諸葛孔明は 志をもって 天下統一をし、 曹丕と孫権は 志を 実現しない。現実主義者に。 司馬懿と諸葛孔明の戦い。 どうなるのだろうか。 趙雲も なくなってしまった。 趙雲は よく戦ったが どうも 印象が薄いね。 さて、十三の巻 ついに最終巻である。
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なんて完成された小説だろう。 英雄譚として、活劇として胸が躍るシーンがあれば、内面を深くえぐる人物描写あり、「面白い小説」の教科書のような中身。 「出師の表」を読んで泣かないものは人間ではない、とかの地では言われていたそうだけど、「本書を読んで感動しないものは三国志好きではない...
なんて完成された小説だろう。 英雄譚として、活劇として胸が躍るシーンがあれば、内面を深くえぐる人物描写あり、「面白い小説」の教科書のような中身。 「出師の表」を読んで泣かないものは人間ではない、とかの地では言われていたそうだけど、「本書を読んで感動しないものは三国志好きではない」と断言できるな。 傑作。本書にはこの言葉がふさわしい。
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諸葛亮の南中平定戦から北伐にかけて描かれている。 個人的に見どころと思うのは次の二つ:孟達の魏から蜀への寝返り、街亭の戦い(“泣いて馬謖を切る”)姜維との邂逅もある。蜀以外では、現状維持を良しとする孫権に、少し不満を抱いている陸遜、軍内での立ち回りに周到さと冷徹なところを感じる...
諸葛亮の南中平定戦から北伐にかけて描かれている。 個人的に見どころと思うのは次の二つ:孟達の魏から蜀への寝返り、街亭の戦い(“泣いて馬謖を切る”)姜維との邂逅もある。蜀以外では、現状維持を良しとする孫権に、少し不満を抱いている陸遜、軍内での立ち回りに周到さと冷徹なところを感じる司馬懿。そういう天下を目指す男たちの視点とは外れたところで馬超たちの生活が粛々と進んでいる。別次元。 巻末の爰京が動かなくなった肩に鍼を打つ描写を読んでいると、医療に携わる者の「やりがい」を少し感じられた。
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