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より道・わき道・散歩道 の商品レビュー

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2024/06/06

「日本の心と文化」というエッセイが興味深かった。 『たとえば、「彼女を待っていたのに、なかなか来なくて、待っている間というのは長いものですね。長いと言えば昨日、動物園で見た鳥のシッポは、ほんとうに長くてね」などという話をすると、あまり誰も相手にしてくれないだろう。しかし、実際に...

「日本の心と文化」というエッセイが興味深かった。 『たとえば、「彼女を待っていたのに、なかなか来なくて、待っている間というのは長いものですね。長いと言えば昨日、動物園で見た鳥のシッポは、ほんとうに長くてね」などという話をすると、あまり誰も相手にしてくれないだろう。しかし、実際に会話をしているときに、ふと「長い」ということから「山鳥の尾」を連想したりしていることはよくあるのだ。そして、われわれはそのような連想を「抑えて」会話をしている。 (中略)私は心理療法家として同様の仕事をしているので、潜在意識のなかに生じてくる、掛け詞や縁語の存在がよくわかるのである。そして、日本文化の特徴は、このような心のはたらきを意識的に取りあげ、それを洗練させることによって、芸術の世界を切りひろげていった。これはほかの国の文化と比べると、相当に特異と言っていいかも知れない。』 ネットで調べると、欧米では「笑点」みたいなダジャレ合戦を楽しむ番組はないようだ、おもしろいと思う脳の質が欧米人と違うのかもしれない?そう考えていくと「笑点」は日本固有の文化を伝える無形文化財的番組かもしれない。

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2023/05/12

河合隼雄の本はやっぱり好き。 いつも通り、ありのままの自分で良いんだと元気をもらえて、読みたい本と聞きたい音楽が渋滞し始める。

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2015/06/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

河合隼雄のエッセイ。河合先生ならではの人間への柔らかい眼差しに満ちている1冊。そんな中にも問題を提起する鋭い視点がちりばめられている。 ○P112  日本人の倫理が「場」に依存しているのに対して、彼らは「個」に根ざした倫理をしっかり持っていると思った。このような、個人が唯一の神とつながる関係における倫理観は、個人主義が利己主義に陥るのを防いでいる。これに対して、日本人が「イエ」を破壊し、「世間様」の目を気にしなくなり、キリスト教抜きで欧米の個人主義を輸入するならば、それは容易に利己主義になってしまうのではないかと危惧されるー。 個々が宗教を持つべきだといった話ではなく、個人主義が行き過ぎてしまい、倫理観すら多様化してきてしまう社会がすぐそこにあるのではないかと感じた。

Posted byブクログ

2010/10/02

心に残ったフレーズをいくつか… 「子どもたちは自分たちの責任と関係なく、 いろいろな運命を背負って生まれてくる。 人間は責任をもって運命を受けとめるのではなく、 運命を生きることによって責任を果たすのである。」 「最近の風潮(1997年)を見ると、 少しでも得にならないことは...

心に残ったフレーズをいくつか… 「子どもたちは自分たちの責任と関係なく、 いろいろな運命を背負って生まれてくる。 人間は責任をもって運命を受けとめるのではなく、 運命を生きることによって責任を果たすのである。」 「最近の風潮(1997年)を見ると、 少しでも得にならないことはやめておこうという人が、 多いように見受けられる。このような考えになるひとつの原因は、 人間の心もお金と同じように「使うと減る」 と思っている人が多いからだと思われる。 確かに、「気を使う」ことをすると疲れるから、やっぱり心も使うと、 心のエネルギーが消費されるので、元気もなくなるのだと思われる。」 この本が出版されて10年が経とうとしているが、 河合さんの鋭いご指摘が、 そのままハッキリと課題として残っていることに気づかされる。 河合さんを亡くしたことは、確かに日本の将来にとって大きな損失だと思うが、 小さき者ながら、河合さんの意思をしっかりとつないでいけたらと思う。

Posted byブクログ