韓国 の商品レビュー

川村湊(編者)

2018/08/03

韓国に関する本は数多く刊行されていますが、「思想」という側面から韓国について紹介している本はほとんど見当たらないように思います。もちろん、本書にも登場している小倉紀藏の『韓国は一個の哲学である』（講談社現代新書）や古田博司の『朝鮮民族を読み解く』（ちくま新書）はたいへん興味深い本ではありますが、いずれも著者自身の関心にもとづいて韓国・朝鮮の思想が語られており、中立的な解説書とはいいがたいように思います。そうした類書が少ない状況のなかで、本書の意義はけっして小さくありません。

朱子学をはじめとする韓国・朝鮮の伝統的な思想と、思想がどのように韓国・朝鮮の社会と政治を動かしてきたのかということが説明され、さらに現代の思想的・文化的動向についても触れられています。

編者の川村湊と小倉、古田の鼎談、川村と安宇植との対談のほか、キーワード解説、ブックガイドなどで構成されています。