ガーデン殺人事件 の商品レビュー
ファイロ・ヴァンスも…
ファイロ・ヴァンスもの。全財産を賭けた勝負に敗北した青年が、その直後、屋上庭園で死んでいるのを発見されます。
文庫OFF
1935年発表のヴァン・ダインシリーズ第9作。いやいやいやいや、普通に面白い。「普通」などと言うと失礼だが、古き良き時代の雰囲気を保ったまま、ハリウッド的な絵になる登場人物たちを配し、お約束づくめ、そして美味しいとこどりフルコースミステリが出来上がっている。また情景描写も素晴らし...
1935年発表のヴァン・ダインシリーズ第9作。いやいやいやいや、普通に面白い。「普通」などと言うと失礼だが、古き良き時代の雰囲気を保ったまま、ハリウッド的な絵になる登場人物たちを配し、お約束づくめ、そして美味しいとこどりフルコースミステリが出来上がっている。また情景描写も素晴らしく、ガーデン家の"ガーデン"から見下ろすハドスン河に照り映える火のような夕陽が眼前に浮かんでくる。サプライズが0?だからなんだって言うのだ、エキセントリックなペダントリーを封じ込めた先にある健全で理想的な名作ミステリだった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
後期作品群は一般的に評価が高くないらしいが、個人的に本作僧正殺人事件より楽しめた。適度に推理しやすくきれいな展開。犯人は当初equanimity という言葉通りの冷静沈着に見えたのにちょこちょこ怪しい動きや綻びが出てきて結末はとても衝動的。そもそも玉の輿確定していないのに想定相手の遺産目当て殺人を始めてしまう気の早さはめちゃくちゃだがなぜか作品の欠点になっていない気がする。ワイヤアクションの走りのような小芝居と協力する刑事軍の平常運転モードが面白かった。良かれと思って提案したことが裏目に出たガーデン家かかりつけ医の先生は気の毒。意外にお転婆好きで、よくわからない程度に恋に悩んだらしいファイロ・ヴァンスが微笑ましい。内容にほぼ関係のない出馬表が挟まれた特別仕様になっているのも微笑ましい。古い文庫本は字が小さいので避けていたが、実際読むと大変に味のある古い翻訳が癖になる感じ。舞台はほぼマンハッタンの屋上庭園付きペントハウス固定で、Xの悲劇で当時のニューヨークの乗り物事情が妙に楽しかったのと同様、推理以外にも情景描写が楽しめて、通俗読み物的にも気に入った。
Posted by
ヴァン・ダイン9作目。 ヴァン・ダインの作品はいつも、殺人事件が起きるところから始まるが、今回は殺される人が最初に喋っているシーンが有るのが印象的。今ではこういう形式が一般的と思うが、当時としては凄かったのだろうか。 古典的パズラーとしてみると、そこまで難しく無いかな?と言う印象...
ヴァン・ダイン9作目。 ヴァン・ダインの作品はいつも、殺人事件が起きるところから始まるが、今回は殺される人が最初に喋っているシーンが有るのが印象的。今ではこういう形式が一般的と思うが、当時としては凄かったのだろうか。 古典的パズラーとしてみると、そこまで難しく無いかな?と言う印象。動機の面など、ちょっと疑問を感じる点はあるが、よくできているのだろう。
Posted by
高層アパートの屋上で頭を打ち抜かれた男。発砲は2回のはずが銃声は1回。 そしてその後金庫室で見つかった看護婦。彼女はガスにより殺される寸前だった。 犯行を見破ったと宣言した夫人が毒殺されるにいたり真相を見破ったヴァンスの仕掛けた罠。 2009年2月19日再読
Posted by
- 1