カイン の商品レビュー
最近読んでいるキリスト教信者の生き方・考え方と全く違う。正反対と言ってもいい。 しかし、こちらの方が圧倒的に共感できる。こちらの方が自分にとって参考になる生き方かもしれない。しかし、本人も言っている通り幸福ではないし、それほど尊敬できるものでもない。 わずかだが見逃せない共通点も...
最近読んでいるキリスト教信者の生き方・考え方と全く違う。正反対と言ってもいい。 しかし、こちらの方が圧倒的に共感できる。こちらの方が自分にとって参考になる生き方かもしれない。しかし、本人も言っている通り幸福ではないし、それほど尊敬できるものでもない。 わずかだが見逃せない共通点もある。存在しているだけで人に迷惑となること。正しいなんてことは絶対にないこと。人は理不尽に幸福になり、理不尽に不幸になる。なぜ?という問いに答えは帰ってこないこと。 ーーー以下引用ーーー きみは死んだように生きることを選択するのか、それとも力強く生きることを選択するのか。マジョリティは、きみ程度の迷惑なんか何とも思っていないだから、ずぶとく生きていけるんだ。きみは、全身で学ぶ必要がある。最終的には捨てるとしても、自分を救うためにさしあたりそれを学ぶ必要がある。 ああ、ぼくも他人に迷惑をかけることができるんだ、そう心の底から実感する必要がある。感動する必要がある。p129 どうだろう? だいたいぼくの言いたいことがわかったのではないかなあ。 きみが膨大な数の他人に迷惑をかけていることを自認しよう。きみはすでに相当の悪人であることを自認しよう。そして、それでもきみは生きねばならないこと、その残酷さを学ぼう。 抽象的なことでは駄目だ。体感的に学ぼう。それには、具体的に目の前の他人に迷惑をかける訓練をする以外にはない。p135 ここで、きみが誠実であろうとするなら、そのカラクリを知ったつもりになってはならない。 理不尽をそのまま認めねばならない。 きみは理不尽に報われ、理不尽に救われる。きみは理不尽に成功し、 理不尽に失敗する。きみは理不尽に幸福になり、理不尽に不幸になる。これがきみが知っている唯一の人生の「かたち」なんだ。もうごまかすのはやめよう。何も見通せない。何も納得できない。それが人生なんだ。 どうだね。なぜかホッとするのではないかなあ。p194 すべてが理不尽である。だから、ぼくは安心してよいことをめざし、それにもかかわらずぼくの行為が引き起こすありとあらゆる悪いこと(理不尽な結果)を受けとめることができる のだ。 ぼくが「よかれ」と思ってなしたことが世の非難を浴びるのは当然であり、他人のために尽くしたのに、その人から憎まれるのもごく自然である。ひっそりと善行を積んできたのに、その成果を他人にぶんどられるのも当然である。他人からあらぬ噂を立てられ窮地に陥るのも当然である。心底信頼していた者から裏切られるのも当然である。ある人を心から愛しているのに、まさにその人からはげしく憎まれるのも当然である。 p198
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読んでいて、すこしこわくなった。 他人に恐怖することがなくなる方法は、あらゆる他人を殺してしまうこと。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ウィーン愛憎では見られなかった淡々とした感情が一冊を貫いている。全ては表象ではないと悟った著者の世界がガラリと変わり、世界には自分しかいないという味気ないものになったことがひしひしと伝わってくる。強くなるにはこうなるしかないのか。もう少し、自分の中で考えてみたい。
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マジョリティ(善人)の暴力には、共感を覚えた。 私の場合、優等生ではなく、親の支配に対して度々反抗してきたから、「親の期待に応えよう」とは思っていないと確信していたが、無意識的に選択させられていることに気づいて愕然とした。 「死」という絶対的不幸があるからこそ、日常の苦痛を耐...
マジョリティ(善人)の暴力には、共感を覚えた。 私の場合、優等生ではなく、親の支配に対して度々反抗してきたから、「親の期待に応えよう」とは思っていないと確信していたが、無意識的に選択させられていることに気づいて愕然とした。 「死」という絶対的不幸があるからこそ、日常の苦痛を耐えることができたというようなことが書いてあったが、私もまたその方法を使ったことがあったので驚いた。
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哲学が気になる私は. 本書による,”哲学にきわめて近いが哲学ではない何か”を求めてたんだと分かった. それによって,何か一段落した思いになった.
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