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親と医師、教師が語るADHDの子育て・医療・教育 の商品レビュー

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2017/01/13
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2002年刊行で、約10年前の著作。注意欠陥多動性障害に関する①親の目線、②医師の目線、③教師の目線で書かれたものである。親の目線は他書と同様、辛い境遇と未来志向とが交錯するものとの印象を持つ。他方、本書では米国の医療・保険制度、教育制度との比較がなされ、長所だけでなく短所にもさりげなく触れられている点はバランスのよさを感じる。日本と異なり、米国では、病状の多元的解釈を許容し、合併症には各々の薬物治療を重複させる。また不平等・保険会社優位の医療制度の一方、米国の教育・医療体制の充実ぶりも指摘されている。 補足として、①アメリカの教育制度には、ADHD専門の学校、学習障害専門学校などがあるらしい。そこでは、ソーシャルスキルトレーニング(SST)が科目としても採用されている。  また、アメリカカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)では、重傷者・合併症者に対する入院病棟まであって、社会性獲得のためのトレーニングプログラムを用意している。なんとも、すごいことである。 他方、任意保険制度しかないアメリカでは、個人が加入している保険会社の提携病院しか受診できないという問題があり、治療内容が加入保険会社によって異なるという事態になっているようだ。国民皆保険の日本では考えにくいところである。 なお、アメリカの保険制度、奈良県心身障害者リハビリテーションセンターの活動については、さらに検討を深めたいところである。また、本書は思春期・おとなのそれまで網羅している点に注意。

Posted byブクログ