1,800円以上の注文で送料無料

赤い蝋燭と人魚 の商品レビュー

4.4

101件のお客様レビュー

  1. 5つ

    56

  2. 4つ

    23

  3. 3つ

    15

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/10/05

小川未明のうつくしい文章に酒井駒子さんの仄暗い繊細な絵が描け合わさって、世界観が確固たるものになっていた。物語として起承転結がしっかりあって、序盤が明るいからこそ、中盤から後半の暗さが際立つ。人魚が冒頭で繰り返す、人間に対するイメージの台詞は皮肉がよく効いていて、大人が読めば苦笑...

小川未明のうつくしい文章に酒井駒子さんの仄暗い繊細な絵が描け合わさって、世界観が確固たるものになっていた。物語として起承転結がしっかりあって、序盤が明るいからこそ、中盤から後半の暗さが際立つ。人魚が冒頭で繰り返す、人間に対するイメージの台詞は皮肉がよく効いていて、大人が読めば苦笑してしまうだろう。あれらの台詞を言葉通りに受け取れる人は幸福だと思う。絵に色数があまり多く使われていない分、より赤色が特別なものに思えたし、不気味に感じてしまうシーンも。優しかった年寄り夫婦を根底から変えてしまったお金は、良くも悪くもエネルギーがあるものだから、適度な距離を保ち続けていたい。

Posted byブクログ

2024/09/24

 小川未明さんのことは、乙女の本棚シリーズ「月夜とめがね」を読んだことがきっかけで、他の作品も読みたいなぁ…と思っていました。こちらの作品、ヒボさんのおかげで、手にすることができました。ありがとうございます。表紙がとっても素敵ですよね(*^^*)  酒井駒子さんの描く世界と、小...

 小川未明さんのことは、乙女の本棚シリーズ「月夜とめがね」を読んだことがきっかけで、他の作品も読みたいなぁ…と思っていました。こちらの作品、ヒボさんのおかげで、手にすることができました。ありがとうございます。表紙がとっても素敵ですよね(*^^*)  酒井駒子さんの描く世界と、小川未明さんのこの作品…イイ感じでマッチしてるんですよね!このストーリーさからなんでしょうね…。何度も読み返したい作品です。人魚は人間を信じて自らの子供を託したのに…人間って浅ましいものです…。悲しすぎる結末を迎えるのも、また人間のせい…胸が痛くなります。

Posted byブクログ

2024/08/17

似たような話だったのか読んだことあるのか忘れたがお金に目が眩むととんでもない事が起きる。最近、お金だけが全てではないみたいな本ばかり選んでる気がする。 絵と内容とすごくあっていて、保育園でもらって読んだ絵本を思い出して懐かしい気がしたがこの方の作品じゃなかったのかなぁ。戦争の絵...

似たような話だったのか読んだことあるのか忘れたがお金に目が眩むととんでもない事が起きる。最近、お金だけが全てではないみたいな本ばかり選んでる気がする。 絵と内容とすごくあっていて、保育園でもらって読んだ絵本を思い出して懐かしい気がしたがこの方の作品じゃなかったのかなぁ。戦争の絵本だった気がするが。。。 乙女の本棚かと思っていたら違っていた。。。

Posted byブクログ

2024/06/09

文章の語り口調とそれに合わせるような酒井駒子さんの絵が何とも良い雰囲気を作っているように感じられました。 また、物語の中に様々なコントラストを感じさせる作品でした。 人魚の娘の恩返しと老夫婦の心変わり。 静かな海が一転して荒れる様子。 崇められていた山と鬼門になる山。 檻に入っ...

文章の語り口調とそれに合わせるような酒井駒子さんの絵が何とも良い雰囲気を作っているように感じられました。 また、物語の中に様々なコントラストを感じさせる作品でした。 人魚の娘の恩返しと老夫婦の心変わり。 静かな海が一転して荒れる様子。 崇められていた山と鬼門になる山。 檻に入ったまま海に沈んだあとはどうなったのだろうか。 忘れられない心に残る作品になると思います。

Posted byブクログ

2023/11/06

「日本のアンデルセン」「日本児童文学の父」と称される児童文学作家の小川未明さんの作品。出身地である新潟県の人魚伝説が元になったとされている。人間に裏切られた人魚の悲哀が描かれた物語。酒井駒子さんの美しい絵も作品全体の物悲しさや切なさをとてもよく表現している。暴風雨の中で香具師の船...

「日本のアンデルセン」「日本児童文学の父」と称される児童文学作家の小川未明さんの作品。出身地である新潟県の人魚伝説が元になったとされている。人間に裏切られた人魚の悲哀が描かれた物語。酒井駒子さんの美しい絵も作品全体の物悲しさや切なさをとてもよく表現している。暴風雨の中で香具師の船が難破した後、人魚がどうなったかはわからないが、海に戻って母親と再会できることを願うばかりである。

Posted byブクログ

2023/08/13

子供の時に読んだことのある好きな話が、好きな作家さんの挿絵で読めるということで喜んで購入。暗い海と蝋燭の火のコントラストが良い。

Posted byブクログ

2022/10/24

6年生の国語の教科書に小川未明が紹介されているため、読んでみました。酒井駒子さんの絵が美しくしく、切なさや海の様子が読みとれ、物語にとっても合った絵だと思いました。 〇1人読み・小学校高~

Posted byブクログ

2022/10/22

おそらく、文章だけで読んでいたら、人魚の恐ろしさが突出した印象を受けたかもしれませんが、酒井駒子さんの、哀愁を纏った、繊細な絵柄が加わることで、また違った印象に変わるのは、絵のもたらす、思いの力を感じさせられ、大人の為の絵本として、大変味わい深い作品だと思いましたし、黒を背景にし...

おそらく、文章だけで読んでいたら、人魚の恐ろしさが突出した印象を受けたかもしれませんが、酒井駒子さんの、哀愁を纏った、繊細な絵柄が加わることで、また違った印象に変わるのは、絵のもたらす、思いの力を感じさせられ、大人の為の絵本として、大変味わい深い作品だと思いましたし、黒を背景にしたページには、良い緊張感があり、物語を、より切なく儚いものにしていました。 物語の内容は、皆がイメージした通りの童話とも受け取れますが、それ以上に、大正10年当時の、親が子に対して思う、価値観のようなものを感じさせられ、それが、まるで叶わぬ夢の如く痛感させられた皮肉な内容が、今の歳になって読むと、とても胸が痛く、「人間は、この世界の中で一番やさしいものだと聞いている」という文章も、おそらく、小川さんは分かって書いているのではと感じ、同様に、胸の痛くなる思いでした。

Posted byブクログ

2022/09/19

行き過ぎた欲をもつことの恐ろしさよ。小川未明の耽美的文章と酒井駒子の儚く美しい美しい絵がすごく合っている。

Posted byブクログ

2022/09/08

小川未明の童話は初めて読みました。 酒井駒子さんが絵を描かれているので、図書館になかったので購入しました。 渋めの赤と黒が印象的な絵本です。 酒井駒子さんの絵は女の子のデッサンが何度見ても、素敵だなあと思います。 人魚の絵本は、いわさきちひろさんの『人魚姫』を持っていますが、ま...

小川未明の童話は初めて読みました。 酒井駒子さんが絵を描かれているので、図書館になかったので購入しました。 渋めの赤と黒が印象的な絵本です。 酒井駒子さんの絵は女の子のデッサンが何度見ても、素敵だなあと思います。 人魚の絵本は、いわさきちひろさんの『人魚姫』を持っていますが、また違ったお話ですね。 でも、人魚は可哀想な目に遭って最後に復讐をするというところは同じだなと思いました。 ○ストーリー(最後までネタバレで書いているので、これから読まれる方はお気をつけください) 北の湖に棲んでいた女の人魚が子供を産み、人間に育ててもらおうと、陸地に子供を産みます。 海岸の小さな町の蝋燭屋の老夫婦が、その赤ん坊を見つけて「神様のお授け子」だと言って育てます。 娘は美しい器量だけど姿が変わっているので、恥ずかしがって、顔を出さず蝋燭に魚や貝や海草の絵を描き、誰でもその絵を見ると蝋燭が欲しくなるように働きました。 その蝋燭を山の上のお宮にあげて、そのもえさしを身につけて、海に出ると海の災難がなくなりました。 南の国から香具師がやってきて「人魚は不吉なものだから手許から離さないと、きっと悪いことになるから売ってくれ」といわれ、老夫婦はその話を信じて高値で娘を売ってしまいます。 娘は「働きますから売らないでください」と言いますが、聞き入れられませんでした。 娘は蝋燭を赤く塗り、赤い蝋燭を自分の悲しい思い出の記念に残して行ってしまいました。 穏やかな晩の真夜中、一人の色の白い女が老夫婦の店に蝋燭を買いに来ました。 女は赤い蝋燭を持って帰りました。 置いていったのは、お金ではなく貝殻でした。 その夜、近頃にない大暴風雨がきます。 ちょうど香具師が娘を檻の中に入れて船に乗せて南の方の国へ行く途中で沖合に遭った頃でした。 赤い蝋燭が山のお宮に点った晩は大暴風雨になるようになり、不吉なので、老夫婦は蝋燭屋をやめました。

Posted byブクログ