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ヴェネツィアの薔薇・ラスキンの愛の物語 の商品レビュー

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2011/07/19

ジョン・ラスキンという名前だけは知っていたけれど(ヴィクトリア朝の「ど真ん中」を生きた天才ガリレオ?いや、ダ・ヴィンチか!)。ヴィクトリア朝とヴェネツィア、英国とイタリア、天才ラスキンと少女ローズ、……、私個人にとっては、ちょうど「このタイミング」で巡り逢えた、とも言えるけれど。...

ジョン・ラスキンという名前だけは知っていたけれど(ヴィクトリア朝の「ど真ん中」を生きた天才ガリレオ?いや、ダ・ヴィンチか!)。ヴィクトリア朝とヴェネツィア、英国とイタリア、天才ラスキンと少女ローズ、……、私個人にとっては、ちょうど「このタイミング」で巡り逢えた、とも言えるけれど。私は、「ヴェネツィア」「薔薇」「愛の物語」と三拍子の揃い踏みならば、やっぱり手にしてみなければ、と思ったんだけど(そしてそれなりに期待したんだけど)。…ごめんなさい!本文よりも、附された「ラスキン年譜」及び訳者によるあとがき「ラスキンの恋」のほうが、よっぽど心を打ちました。期待しすぎたのでしょうか。これは史実か小説か?「事実は小説よりも奇なり」とも申します。この謂いは事実、真実でありましょう。「小説」は、その本質を抽出して掬いあげ、かつ「物語」として読ませるからこその、ブンガク。そういう意味ではね、この1冊、「文学」としてはどーだかなー、と思いました、だから敢えて☆3つです(ウサギにしては辛口です)。本書の帯には「恋する人への贈物。」とありますし、原著は「クリスマスギフト」としても売れている、とのこと。この1冊も、それに相応しい装幀、相応しい紙色・文字色、です、きれいです。愛すべき「モノ」ではあります。少し歳の離れた、少女の面影を残したままの「想い人」にプレゼントするにはいいかもしれません。万が一、「愛の告白」に代わるかもしれません(ほんとに、万に一つ)。嗚呼、でも、この本文が(きっと翻訳前の原文も)「事実」を超えることは、絶対に、できない。というわけで、訳者がわざわざ丁寧にあとがきで述べていることを勝手に解釈したうえで、「ラスキン」「ヴェネツィア」あるいは「聖女ウルスラ(の生涯とその美術的表象)」「ヴェネツィアの画家カルパッチョ」……、等々、どれかひとつでいいから、これらのキーワードに「引っかかった」方は、どこかにお留め置きください、とお薦めします。きっと、この1冊を発端にして、「それ以上」に踏み込みたくなりますから。だから、けっきょく、私はこれを、しばらくは手放さないんだろうな(「年譜」と「史実らしきもの」を確かめるため、だけであっても)。蛇足(きっと他の誰かが同じことを企図しているはずだ)を承知で、一言。ラスキンとローズ自身の相聞(実際には手紙の遣り取り)が残っているならば(かなり残っていそうだ)、それをそのまま「きちんとまとめて」、「物語」にしましょう。「アベラールとエロイーズ」とは言わぬまでも(もしかしたらそれ以上!?…、それは、ないかな)、話題になるかもしれぬ、のに。

Posted byブクログ