ショーシャ の商品レビュー
アイザック・バシェヴィス・シンガーは、イディッシュ作家として初めてノーベル文学賞を受賞した人物だ。 イディッシュとは、ユダヤ語の意味。イディッシュ語は、主に東欧諸国に住んでいたユダヤ人たちの共有語である。 シンガーは31歳の時アメリカに渡り、ニューヨークに住みながらずっとイディッ...
アイザック・バシェヴィス・シンガーは、イディッシュ作家として初めてノーベル文学賞を受賞した人物だ。 イディッシュとは、ユダヤ語の意味。イディッシュ語は、主に東欧諸国に住んでいたユダヤ人たちの共有語である。 シンガーは31歳の時アメリカに渡り、ニューヨークに住みながらずっとイディッシュ語で作品を発表しつづける。 ポーランドで生まれ育ち、アメリカに住んでいたユダヤ人の作家は、自分の民族の言葉で作品を書く。母国語を捨て、敵国の言葉で書くことを強いられたアゴタ・クリストフとは同じ東欧圏の作家なのに全く違います。 シンガーは、イディッシュ語から翻訳されるときに原作の価値の4割が失われると述べています。本書のように英語からの重訳ならなおさらでしょう。 どの作品も原語で作者が書いたまま読むのが望ましい。しかし、私たち読者は訳者のおかげであらゆる言語で著されたものを読むことができるのである。 さて、この『ショーシャ』という小説は、とても実際のシンガーの人生背景と重なる部分が多く、20世紀初頭のポーランドのユダヤ人社会がかなりリアルに描き出されている。 『ショーシャ』とは、女性の名前だが、文中では、主人公の少年時代の幼なじみで、のちに主人公の妻になる人のこと。 『ショーシャ』は、精神発達遅滞のある少女で、敬虔なラビ(ユダヤ教指導者)の息子として生まれた主人公(シンガーもラビの子息)とは、家庭環境も違ったが、心の許せる相手であった。 その彼女と再会し、まったく昔と変わらない彼女を主人公は妻にする。 物書きというカテゴリーに属し、インテリの仲間も多い主人公は精神発達遅滞のままの無垢な『ショーシャ』を妻とし、初恋を貫くのだ。 実際、『ショーシャ』はシンガーの幼なじみで、のちに、『ショーシャ』の家を訪ねると『ショーシャ』ではなく『ショーシャ』にそっくりの彼女の娘に会ったのだという。 このエピソードが本書のプロットを思いつかせるきっかけになったのかもしれないが、当時の時代の波にもまれつつもユダヤ人社会のなかで、そしてそこから抜け出し、至純の愛を頑なに昇華しようとする主人公の生き方。 結婚後のふたりがどのような人生を歩んだかは詳しくは書かれていないが、第二次世界大戦後、再会した友人に13年前の仲間たちのことを喋らせ、自分も『ショーシャ』のことを少し語る。 文章が抜群にうまい。原書はこれプラス四割+αだとするとすごい作家である。
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途中で鋼の錬金術師にはまって10日ほど中断w よーわからん。 まさに異文化。思考回路が理解の範疇の外。 現実にファンタジーの世界に放り出されたらこんな感じなんだろうなあ。 でもこれは現実の、ユダヤの人たちの話。 世界って広いと思った。 寄ってくる女性に次々手をだしたり 誘われ...
途中で鋼の錬金術師にはまって10日ほど中断w よーわからん。 まさに異文化。思考回路が理解の範疇の外。 現実にファンタジーの世界に放り出されたらこんな感じなんだろうなあ。 でもこれは現実の、ユダヤの人たちの話。 世界って広いと思った。 寄ってくる女性に次々手をだしたり 誘われるままに脚本を書いて失敗したり、 主人公のフラフラぶりが印象に残った。 なのにいつの間にか人気作家になってるし。 にもかかわらずあんまり嬉しそうじゃないし。 何なんこいつと思った。 1本筋が通ってると言えるのは。、ショーシャを愛しているということ1つ。 でも女に手を出すw 「おお〜」と思うところはいくつかあった。 時というのは1冊の本だという話、 主人公がショーシャのことを信頼できる唯一の女だと言ったところ、 ラストの「苦しみに答えなんかない」というくだり。(09.06.27) ----------------------------------------- 図書館。 「励まし合って読書会」6月の課題図書 (09.06.01)
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