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職人たちの西洋建築 の商品レビュー

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2009/10/04

建築の世界でいつも注目を浴びるのは、建築家や設計者の人達だが、本書は、余り注目されることのない職人に光をあてたものだ。 「和洋折衷」という言葉がある。日本風なものと西洋風なものとをほど良く取りいれるというようなことだ。餡パンみたいなものを思い浮かべたら良い(多分)。 で、幕末...

建築の世界でいつも注目を浴びるのは、建築家や設計者の人達だが、本書は、余り注目されることのない職人に光をあてたものだ。 「和洋折衷」という言葉がある。日本風なものと西洋風なものとをほど良く取りいれるというようなことだ。餡パンみたいなものを思い浮かべたら良い(多分)。 で、幕末から明治初期にかけて、日本では和洋折衷様式の建築物が作られていた。 和洋折衷式の建築物は、「西洋建築の知識に乏しい職人達が、見よう見まねで作ったもの」といったように定義されていたようである。そのためだろうか、当時の建築物は、これまで評価も低かったらしい。 だが著者である初田氏は、この評価と正面から対決する。 和洋折衷の建築物は、「やむをえず和風と洋風が混在したもの」ではなく、「当時の職人達が、意図的に洋風を和風建築の中に取り込んだ独創的なものである」…初田氏はこう主張し、豊富な資料をもとに、今までの一般的な和洋折衷様式の評価を覆していく。 ほかにもこの本には、明治期あたりまでは、その腕を磨くために「西行」と呼ばれる渡り職人が多数いた、という事実や職人世界の隠語があったという事実など、興味深い話題が多く盛り込まれている。 資料や図版を見るだけでも、なかなか面白い本だ。

Posted byブクログ