美姉はいけない若妻 の商品レビュー
強いられ続けて目覚めた被虐の恍惚
フランス書院文庫のタイトルで「美」を用いた時は、それが姉であれ母であれ実の血縁を指すのが慣例と言えるくらい多いのだが、本作は義姉、つまり兄嫁である。エリートだが残業続きで夜も淡白な夫への鬱積と満たされぬ色欲がファッションビルのレディスフロアで万引きという形で表出した時、それを義弟...
フランス書院文庫のタイトルで「美」を用いた時は、それが姉であれ母であれ実の血縁を指すのが慣例と言えるくらい多いのだが、本作は義姉、つまり兄嫁である。エリートだが残業続きで夜も淡白な夫への鬱積と満たされぬ色欲がファッションビルのレディスフロアで万引きという形で表出した時、それを義弟たる主人公が目撃したことから始まる秘密の関係、その行方である。このファッションビルのレディスフロアは後にも2度程効果的に登場しており、良く練られたストーリーの妙を感じ取ることができる。 サブタイトルへ冠されるようにヒロインは30歳の義姉【亜沙子】ほぼ1人。他に亜沙子の妹も出てくるが場面は少なく、姉の真意を看破して主人公に伝える役回りがメインと言える。万引きを秘密にすることに加えて妹に手を出さないことを条件に我が身を差し出す形になった姉のやり口に反発し、妹のためと称していつも自分が手に入れると批難している。そんな姉への敵愾心が図らずも主人公へ亜沙子自身も未だ自覚していない真意を伝えることとなり、その潜在意識を亜沙子に自覚させる秘策をも伝授したようである。この秘策を主人公が放置プレイという形で実践したことで劇的に訪れる亜沙子の変化は読後感を高める素敵なクライマックスとなっている。 しかし、そこに至るまでは時に平手打ちで応酬するほど強気な抵抗を続ける亜沙子が描かれている。エリートの妻だけにプライドが高く、浪人の身で居候中の主人公を内心では見下している。何故こんな男に嬲られなければならないのかと葛藤しながらも、そんな哀れで惨めな女だと自分を卑下することで官能的な昂りを次第に覚えていく亜沙子である。つまりM。逆に主人公は学歴がコンプレックスなので責めが強まり、結果として亜沙子の被虐に加勢する構図になっていたりする。 内に蓄積される肉欲への渇望に反して表出する態度は素直でない亜沙子。これに対してマイペースに次々と仕掛けていく主人公。元来はチェリーで臆することもあるのが焦らしの効果を生み、いかにも強いられている立場を取りながらも時に思わず促してしまうような動きを見せる亜沙子が描かれる。一方的な関係の中に亜沙子の小さな反応が盛り込まれ、それが次第にじんわりと肥大し、遂には自覚せざるを得ないほどに存在感が増すまで段階的に綴られている。 自室では電話中にちょっかいを出されたり、交わったまま宅配便の受け取りに行かされたり、外出時は全裸にコートとブーツのみの姿にさせられて男子トイレに連れ込まれたりとシチェーションは良好。抗うものの応じなければならない屈辱と、昂り始めてからの感度の良さが悩ましくもいやらしい場面として続けざまに描かれている。
DSK
夫に後ろめたさを感じ…
夫に後ろめたさを感じながら12才も年下の弟に犯されるというシチュエーションの官能小説
文庫OFF
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