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ハイドン交響曲 の商品レビュー

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2016/02/08

 近年のハイドン研究を踏まえ、その交響曲の作曲年代の特定、様式変遷、楽譜校訂の問題などを論じた本だが、NHK交響楽団の機関誌への連載をまとめたものなので、一般的音楽愛好家を想定して書かれており、読み物として楽しめる。交響曲関連の話ではすべては埋まらず、余白には宗教音楽に関する論考...

 近年のハイドン研究を踏まえ、その交響曲の作曲年代の特定、様式変遷、楽譜校訂の問題などを論じた本だが、NHK交響楽団の機関誌への連載をまとめたものなので、一般的音楽愛好家を想定して書かれており、読み物として楽しめる。交響曲関連の話ではすべては埋まらず、余白には宗教音楽に関する論考が収められている。  特に交響曲の様式の変遷と、エステルハージ家でのハイドンの状況とを対照して論じられた部分は、ハイドンの創造性がいかに発揮されたかという問題にも関わってとてもスリリングである。いわゆる「疾風怒濤」期の交響曲がなぜああも短調が多く激しい曲想だったのか、それがなぜ穏健な作風に移っていくのか、なるほどと思わされる。  巻末の諸研究によるハイドンの交響曲の成立年代の推定の一覧表も資料的価値が高い。  よい音楽書は読んだあと反芻するように曲を聴きたくなるものである。

Posted byブクログ