月の砂漠をさばさばと の商品レビュー
いつか読もうと思っていた本をやっと読む。 お話を作る仕事をしているお母さんと9歳のさきちゃんの毎日。 寝る前にお母さんが話してくれた宮沢賢治の童話。(銀河鉄道の夜で、車中で語られる「さそりの火」ですね。) さきちゃんの問 「さそりが、≪いたちに食べられた方がよかった≫と思うでし...
いつか読もうと思っていた本をやっと読む。 お話を作る仕事をしているお母さんと9歳のさきちゃんの毎日。 寝る前にお母さんが話してくれた宮沢賢治の童話。(銀河鉄道の夜で、車中で語られる「さそりの火」ですね。) さきちゃんの問 「さそりが、≪いたちに食べられた方がよかった≫と思うでしょ」 「神様が≪それじゃあ≫っていって、井戸から上げて、いたちの前に置いたら、さそりはどうするんだろう」 (略) 「‥‥そしたら、神様は、さそりのこと、≪嘘つきだ≫って怒るのかな」 子供って型にはまったようにお話を受容しないんだな。そして、こんな凄い感想を口にしたのに、翌日の夜、お母さんは、さきちゃんが昨日の話をどのくらい覚えているかな、と思う。 「さあ、井戸に落ちたさそりはどう思ったでしょう。」 この後のさきちゃんの一言。 子供が傍にいる日常が無ければ書けないと思う。 本のタイトルになった一篇も終わりが印象的。 さきちゃんは、口の中でつぶやきました。 「月の砂漠をさばさばと……、(略)……」 そして、小さな手を伸ばし、お母さんの指をそっと握りました。 よく、なんで北村薫さんは女性の気持ちが書けるんだ、あの著者近影は嘘じゃないのか、と云われるけど、更にもう一つ。なんでこんなに子供が書けるんだろう。 一篇一篇短いけれど、胸にじっくり文章が落ちた。
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私はよく、心がじんわりと暖かくなった時に「ほっこりする」という表現を使うが、まさにそんな一冊。 作中の、お母さんがさきちゃんの優しさを感じ「温かいお風呂に入ったような気持ちに」、とい表現にまさにそれだ!と納得!
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女の子とおかあさん、二人暮らしの日々を優しく描く、かと思いきや、少しどきっとするところもあり。やっぱり北村薫はほんとは女性なんじゃないかと思ってしまう。
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お母さんとさきちゃんは二人暮らし。おかあさんはお話を作る人なんだけど、悪戯が大好き。そんなお母さんをさきちゃんは大好き。 というほのぼのとした日常のお話が12編ある。 「くまの名前」 小学校三年生のさきちゃんはお母さんのお話しを聞くのが大好き、寝る前にお母さんがお話を見つけた話...
お母さんとさきちゃんは二人暮らし。おかあさんはお話を作る人なんだけど、悪戯が大好き。そんなお母さんをさきちゃんは大好き。 というほのぼのとした日常のお話が12編ある。 「くまの名前」 小学校三年生のさきちゃんはお母さんのお話しを聞くのが大好き、寝る前にお母さんがお話を見つけた話をしてくれた。 でもお話は、先に三毛猫さんに拾われ、そこで引っ張り合いになってお母さんは「お話!おはなし!」と叫んだのよ。 でもこのお話には熊さんがでてくるの、乱暴者でね、新井さんのおじさんが任せないさいって、くまさんを連れて行ったの。 それでくまさんの名前が変わって「アライグマ」さんになったわけ。 はしょった、かいつまんだ話ながら、こういうことをさきちゃんに話して聞かせるお母さんなのです。 母子家庭の日常の影もうっすらと漂う話なのです、おかあさんは上手にそんなお話にしてしまいます。 賢いお母さんの愉快なお話を聞きながらさきちゃんはすくすくと育ちます。 お母さんは、さきちゃんの連絡帳の書き込みに返事を書いてお友達になったりします。 お母さんはよくCDを聞いていて、自分でも歌を歌います、でたらめの。 「月の 砂漠を さばさばと さばの味噌煮が ゆーきーました」 さきちゃんはさばの味噌煮が砂漠を歩いていくのは可愛いといいました。お母さんは「……なるほど」といいました。 簡単に言えばこういう話が、又言いますが、12編あります。みんないいお話です。 どれも温かく時にはジンと来ます。 お母さんとさきちゃんの、言葉にしない賢さと優しさがたまりません。 この味はお読みいただければたっぷりと楽しめます。
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女の子さきちゃんとお母さんの物語。 ふとした日常のひとこまを優しくクスッと笑わせてくれたり、時にドキッとさせられるようなお話がたくさん描かれていてほっこり温かい。 娘のさきちゃんがお母さんにつっこんだり、さきちゃんの間違いをお母さんが微笑ましく見ていたり。 ふたりのやり取りが...
女の子さきちゃんとお母さんの物語。 ふとした日常のひとこまを優しくクスッと笑わせてくれたり、時にドキッとさせられるようなお話がたくさん描かれていてほっこり温かい。 娘のさきちゃんがお母さんにつっこんだり、さきちゃんの間違いをお母さんが微笑ましく見ていたり。 ふたりのやり取りが可愛らしく、親子のような友達のような素敵な関係だ。 そして更に、いろんなことを楽しみ喜ぶふたりはとても素敵だ。 優しい世界が広がっている。 挿絵もとても可愛らしい。
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親子の日常をほっこりと描いた作品。とにかく娘のさきちゃんが可愛らしくてにこやかな気持ちにさせてくれたり、少しばかり切なくさせてくれたり、さきちゃんを見る母親の視点がありのまま全てを包み込むように優しい。暖かいココアによく合います。#
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読了。なんとなく、お母さんは離婚しているようだ。シングルマザーのようだ。なんで離婚したのかなと思った。いろいろあるのかな?
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すごく可愛くて優しい12の短編集。 サキちゃんは子どもらしくてかわいらしいし、児童作家のお母さんの発想力もすごい。 これを書ける北村薫というオジサンはかなりツワモノであると心から尊敬の念。 そして梨木香歩さんの解説とても素敵です。
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優しくて美しい。 ストーリーも、それを綴る文章も。 そして、会話が本当に現実的で生き生きとしています。
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《でも、聞きまちがいって面白い》と、さきちゃんは思いました。普通では考えられない世界をちらりとのぞくような、不思議な感じになります。めちゃくちゃに絵具を振りまいて、そこにできた、奇妙な模様を見るようです。ー「聞きまちがい」 9歳のさきちゃんと作家のお母さんの日々の物語。 毎日を...
《でも、聞きまちがいって面白い》と、さきちゃんは思いました。普通では考えられない世界をちらりとのぞくような、不思議な感じになります。めちゃくちゃに絵具を振りまいて、そこにできた、奇妙な模様を見るようです。ー「聞きまちがい」 9歳のさきちゃんと作家のお母さんの日々の物語。 毎日を丁寧に生きていて、とても好感が持てた。 こんなお母さんになりたい。
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